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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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原題:BATON ROUGE
製作年:1988年
製作国:スペイン
監督:ラファエル・モレオン
出演:ビクトリア・アブリル、カルメン・マウラ、アントニオ・バンデラス、
ノエル・モリーナ、ラファエル・ディアス


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Yahoo!映画とか、映画.comとか、ONTVとか、
ネット上で自分の観た映画をデータベース化できるサイトは、結構ある。
便利なのでよく利用しているのだが、たまに登録されていない作品があったりすると、
がっかりするというか、鼻白んでしまう。
しかし上記3サイトのどこでも引っかからない作品というのは、これが初めてだった。
すごくよくできたサスペンスなのに、なんでだろう。
日本でも一応、ビデオ化されているのに……。


late 80'sのスパニッシュ・ロマンス、ビクトリア&アントニオ


本作に主演しているビクトリア・アブリルとアントニオ・バンデラスは
80年代後半~90年代のスペインを代表するスター。
本作のほかにも、『凶弾』、『ボルテージ』、『アタメ!』の
計4作品で共演を果たしており、
同世代のベスト・カップルとでも呼びたくなるような存在感を振り撒いてきた。

『アタメ!』でアルモドヴァル監督の強烈な個性の下、
伸び伸びと演技する二人の姿は最高。
『凶弾』はバンデラスに比重の置かれたアンチヒーロー映画で、
アブリルは添え物的な扱いに甘んじている。
『ボルテージ』は、フランコ政権下に花開いた悲恋関係を描く硬派な作品で、
監督は『アマンテス』『危険な欲望』でもアブリルと組んだ、
ビセンテ・アランダである。

ベストを選ぶとするならば、やはり『アタメ!』、
という意見は変わりようもないのだが、
本作もよく練られた脚本が素晴らしい、上級のサスペンスであった。
大金を中心にめぐらされる男女の策謀が交錯し、
一転、二転、三転していく展開は、スリリングのひとこと。
プロット重視の脚本には、大抵どこか”穴”があるものだが、
本作からは矛盾らしい矛盾が感じられなかった。

前半には、怒涛のラストに向けた伏線が多数散見されたが、
中でも印象に残ったのは、
バンデラスがアブリルに向かって訝しげに放つ、
「お前、本当に男が好きか(レズビアンなんじゃないのか)?」という台詞。
たった一行のセンテンスが、これほど多くのものを表現するというのも、
ちょっとした驚きで、言葉や脚本の持つ力というものを、再認識させてくれた。
この見事な脚本は、監督自身と、アウグスティン・ディアス・ヤネス
(『ウェルカム・ヘブン!』の監督)の手によるものである。


日本版ならではの”ウリ”が


また本作には、もう一人のスター、カルメン・マウラが登場している。
彼女もアルモドヴァル作品で知名度を上げた女優だが、
大して美しくもない容姿をフル稼働させて体当たりしてくるような、
エネルギッシュな実存がいかにもスペイン、という感じ。
本作でも老いらくの恋に燃える中年女の姿を、存在感たっぷりに演じている。
この3人の競演というだけでも、スペイン映画ファンは必見の作品なのだ。

邦題は何だかなぁ、という感じだが、これもスペイン映画を捌こうとする側の、
使い古された常套手段なので、いまさら物申す気力もない。
腐女子やゲイへのアピールポイントとして、
数秒間、バンデラスのフルヌードが拝めるシーンがあることを書き加えておく。
ボカシなし、フトマラだった。

ポチッとお願いいたします★

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原題:Apartment Zero
製作年:1988年
製作国:イギリス
監督:マーティン・ドノヴァン
出演:ハート・ボックナー、コリン・ファース、
ドラ・ブライアン



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日本でも話題の『英国王のスピーチ』でオスカーに輝き、
キャリアのピークにいらっしゃるコリン・ファースの、
若き日の姿が楽しめる作品。

僕は基本的にサスペンス大好きなのだが、
なかでも本作のように”秘密”が物語の進行上、
重要なポイントとなってくる展開は大好物なので、大いに楽しめた。

主役の男性ふたりによる存在感が大きい作品だが、
隣人として登場する脇役の個性が豊かなところも面白く、
アパートという限定された空間の中で繰り広げられる物語の利点は、
充分に活用されている。
住人によってそれぞれに違う部屋のインテリアを眺めているだけでも、
結構楽しめるのだ。

また英国映画でありながら、
ブエノスアイレスを舞台にした設定がエキゾチックで、
ラテンアメリカの映画を観ているような錯覚に陥る瞬間も。
何よりアルゼンチンの黒い歴史である、軍事政権の二次災害を
推理劇のスパイスとして効かせているところがユニークで、見応えがあった。
傭兵という言葉の意味について改めて考えさせられたが、
現実にこういうことがあったのかもと思うと、空恐ろしくなってくる。
その意味では”社会派サスペンス”としての側面も持った作品だ。

そしてこのブログ的には例によって、なのだが、
本作にもゲイ的な要素は、濃厚に漂っている。
80年代後半という微妙な時代柄、直接的な描写は敢えて避けられているものの、
複雑な背景を持つふたりの男性が、
それぞれの理由でお互いを必要としていく過程が、
サスペンスにふさわしく、緊張感たっぷりに描かれるのが面白い。

映画好きな主人公の部屋には、モンゴメリ・クリフトやジミー・ディーン、
そしてオーソン・ウェルズ(『強迫/ロープ殺人事件』のスチール)の
写真が飾られていたり、女装の娼婦が脇役に登場していたりと、
それらしい雰囲気を強調するデティールもたっぷり。
何よりそれまでスーツ一辺倒だったコリン・ファースが、
相手を偲ぶような皮ジャンスタイルに成り果てている
ラスト・シーンが意味深で、物哀しかった。

それにしてもコリン・ファースは、
『シングルマン』『アナザー・カントリー』『秘密のかけら』
そして本作と、ホントによくゲイ役を演じてくれる俳優だなぁ

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拍手[4回]

製作年:1989年
製作国:日本
監督:塚本晋也
出演:田口トモロヲ、塚本晋也、藤原京、
叶岡伸、石橋蓮司



___________________________________

僕がこの映画についてはじめて知ったのは、
雑誌『宝島』の紹介記事だったと記憶している。
当時はまだ子供だったので、その強面なイメージに恐れをなし、
映画館へチェックに赴こうなどとは、とても思えなかったのだが、
近年「そういえば、そんな映画があったっけ」と思い出し、レンタルソフトを探した。
しかしどこにでも置いてある作品ではなく、
また一体どの棚を探すべきなのか、三歩踏み出すうちに忘れてしまったりして、
どんどん時間が過ぎていった。
20年越しで気になっていた映画を、やっと観ることができたわけで、
勝手な感慨すら憶えてしまった次第だ。

とにかく好き嫌いは別として、
圧倒的なエネルギーと才気がほとばしっていた。
別世界に飛んでいけるという意味で、すごく楽しめる作品だったのだ。
この映画を観ていると、使い捨てられた鉄や金属は、
撮りようによって非常に絵になる廃材だということが、よくわかる。
しかしそのオブセッションを映像へと刻み込んでいくには、
並々ならぬセンスが必要となってくるはず。
他人からの容易な理解を期待できない題材を、
少ない予算の中で、ここまでスタイリッシュに作品化した監督の
手腕と執念には、本当に敬服してしまう。

ねちょ~っと糸引く粘着質なテクスチュアに、
クローネンバーグとの相似性が感じられるあの衣装は一体、
どのぐらいの時間をかけて作ったんだろうか?
その異様な風体で畳の部屋とか日本の住宅街を走り回る絵作りが、
本当に刺激的で、全然古びていない。

また編集の技術がすごい。
実際には起こりえない、身体の機械化を映像化するために
静止画を細かく積み重ねていく手法が、
画面に自然な説得力とスピード感を付与している。
映像化の難しい題材でも、アイディアさえあれば貧乏臭くは見えないという好例だ。

そして、僕的にはどうしても書いておきたいのだけれど、
本作のラストに濃厚に漂っているゲイ的な要素。
あれは一体、何なんだろうか。
敵味方に分かれて争っていた怪人ふたりが「結合」し、
ペニス型をした双頭の怪人に成り果てる展開。
その瞬間に突然、甘いオールディーズが流れる演出。
そして「俺たちの愛を世界に見せつけてやろうじゃねえかぁ」と叫ぶ台詞。
監督の意図が働いていることに、疑いの余地はないのだが、
この点について指摘しているレビュー、国内では皆無だった
(ホントに、一体どこ観てんのかしらネ)。
作品内にちょくちょく挿入される、シュールなデティールの一環なのか、
それとも作品全体を覆っているテーマなのか……。
お陰でさらに、印象に残る作品となってしまった!

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拍手[2回]

製作年:1985年
製作国:日本
監督:相米慎二
出演:工藤夕貴、三上祐一、大西結花、
三浦友和、尾美としのり


_________________________________________

80年代のATG映画(ディレクターズ・カンパニーとの共同制作)。
豪雨、むせ返るような湿気、そして非日常的な雰囲気に包まれる
台風の1日が物語の主軸となっており、観ていて心地よい。

しかし主題となる「思春期ならではの衝動」とか「純粋さ」には、
さほど興味が湧かなかった。
僕にとっては過ぎたことだし、いち早く忘れてしまっても構わない、とすら思う事象だ。
 「俺たちには厳粛な生の前提となる、厳粛な死がない。
  だから俺は死んでみせる。お前たちのために」
という台詞と、その後の滑稽な死体描写にはグッと来るものがあったが……。
まぁ観る者によって好みが分かれる、青臭いテーマであることは確かだ。

演出は、やや図式的。
果たして日本の若者は、解放感を体現するに当たり、「踊る」だろうか?
僕は「踊れない」と思う。
きっと俳優を厳しく追い込んで「踊らせている」んだろうな、と思うと、
なんだか行き場のない気持ちになった。
セックスや暴力の要素が多分に盛り込まれているのは現代的で、
展開には緊張感がある。
総じて映画としては、純粋に楽しめる作品だった。

俳優たちのその後に思いを馳せ、情報を検索できるのは、
同じ日本人に許された特権かもしれない。
工藤夕貴は本作など、作品性の強い映画への出演が続いたことで海外から注目され、
永瀬正敏とともにジム・ジャームッシュの作品に起用された。
その後も海外作品に出演する機会に恵まれ、
近年は国内メジャーの作品にも顔を出している。
欧米にはインディペンデント作品のミューズとして
活路を見出す女優の在り方や、人材を受け入れ育てる環境があるが、
日本人がその射程距離に入れることは、かなり稀。
驚くべき強運の持ち主といえるだろう。

公開当時には工藤夕貴を抑え、映画祭の新人賞を獲得した
大西結花だったが、同年にアイドルデビュー。
人気ドラマ『スケバン刑事3』に出演するなどして、
使い捨てのメジャー路線へ進んだ。
現在は細々と芸能活動を続けているらしい。

少年と男の狭間を行き来する実存を見事に体現した三上祐一は、
その後俳優活動を続けたものの、90年代にフェードアウト。
現在、常人には理解不能な極北のネット住人と成り果てている姿を確認した。
映画と自分の作り出したキャラクターに、殉じるような人生を送っている様子だ。

それにしても近年の日本には、作品性の強い映画を主戦場としている
俳優が少ないな、と改めて思った。
男だと浅野忠信とか松田龍平ぐらい? いずれも出演作は見たことがないが。
女優に至っては、思い当たらない。

今年はもっとインディ邦画を観て、俳優の青田買いとかしてみようかな……。

ポチッとお願いいたします★

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原題:應招女郎 
製作年:1988年
製作国:香港
監督:デヴィッド・ラム
出演:マギー・チャン、フォン・ボーボー、
チェン・マウシー、イー・チンマン



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娼婦ものの香港映画ということで、手に取った作品。
2004年にカンヌ映画祭で主演女優賞を獲得し、
今や押しも押されぬ大女優となったマギー・チャンが出演している。

香港映画で活躍した俳優といえば、
僕はレスリー・チャンが大好きで、
彼が自殺してしまったことが、いまだに残念で仕方ない。
一時期出演作をよく観ていたのだが、
その過程で香港映画がどんなものなのか、片鱗がつかめた気がする。

レスリーは大スターだったので、
作品性の強い監督との仕事からエンタメ映画への出演まで、
俳優として幅広く活躍していた。
アーティストだけでなく、エンターテイナーにもなれる。
そんな器の大きさが、香港を舞台にすると、
よりクールに映ったものである。
彼は香港映画の多彩さを、体現する存在でもあったのだ。

本作には、香港で人気の高いギャングものを、
女性映画に置き換えたかのような、華やかさとハードボイルドさが漂う。
日本でソフト化されたのは、
マギーの知名度によるところが大きいと思うが、
実際には5人の娼婦の姿を平等に描く作品であり、
そのうち交流があるのは2人だけ。
つまり1作の中に、4つのエピソードが混在している。
それぞれの物語が絡み合うことはないが、
ひとつひとつわかりやすいメロドラマであるところを補い合って、
観る者を飽きさせない。
エイズ、少女売春、そして10年後に控えていた返還など
政治や社会問題を巧みに取り込んでいるところ、
そして若く美しい女優たちを手加減なく演出しきろうとする姿勢に、
好感を抱いた。


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