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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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※「CCって何よ、レモン? ガールズ?」などと言う輩は、以下を読まなくてよろしい!

もともと酒飲みではないため、二丁目のバーには
ほとんど行かない僕だが、ごくごくたま~に、行く店がある。
そこのマスターはものすごい映画好きで、元映画関係者らしい。
そんな彼が「昔、日本版のCCを作りたくて
各映画会社に企画書を持っていったんだけど、相手にされなかったんだ」
と話してくれた。
なんてステキ。いつか僕がお金持ちになったら、ぜひやりたい企画だ!
最もそんな日は、来ない可能性が限りなく高いが(笑)。

だいいちその企画をリードするに、僕はまだ邦画を観ていなさすぎる。
もっともっとたくさんの本数を観ないと、話にならないだろう。
でもとりあえず今回は、最近観た「にっぽんのCC的映画」を数本、
時代順に紹介いたします。

==============================
★『自由学校』
製作年:1951年
製作国:日本
監督:渋谷実
出演:佐分利信、高峰三枝子、淡島千景、佐田啓二、笠智衆、杉村春子



ジェンダーの逆転を結末とする脚本(原作有)からしてCC的。

しかし本作のCC的側面を誰よりも担うのは、佐田啓二
日本初のゲイ映画と称される『惜春鳥』での肺病病みのような、
線の細い美青年役をタイプロールとする彼が、
「だって~なんですもの、おばさま」という
どこか少女漫画的なオネエ言葉を真剣に操り、
ナヨナヨとした青年役を怪演している。
しかもそれが不快ではなく、かなりチャーミングなのである。

コメディ演出に晒された時、意外な真価を発揮する俳優って、それだけで好きになる。
歯切れのいいセリフを操る高峰、
猫撫で声から野太い地声までを駆使する淡島も、然り。
笠智衆に至っては強姦未遂でヤケになり、
大暴れするのだから本当に滅茶苦茶な映画である。

最も佐田の役柄は、ゲイ青年と限定されたわけではない。
戦前の常識から逸脱した、アプレのいち形態程度に留まっている。
そこら辺の奥ゆかしさがまた、CC的で良いのだ。

★もし『にっぽんのCC』が作れたら、入れたいのは:
佐田が高峰の自宅を訪ねた際の会話シーン

==============================
★『兵隊やくざ』
製作年:1965年
製作国:日本
監督:増村保造
出演:勝新太郎、田村高廣、淡路恵子



こんなにCC的な映画なのに、ゲイの間ではほとんど語られることがない。
増村らしいスピーディな演出/編集で、軍隊の不条理な暴力が
次々と描き出される内容なのだから、ゲイが好むはずもない。
しかし90分我慢した先には、相応のカタルシスがあるのだ。

もちろん公開当時に観たゲイは、こちらが想像する以上のものを読み取ったであろう。
しかしその感動が次代に伝わっていないのは、一種の悲劇である。
深読みは近年、ノンケの映画ファンの方が先じている状況。
田村高廣も脚本の裏テーマを理解したうえで、演じていたらしい。

監督は当時欧米で制作された『軍曹』とか『禁じられた情事の森』とか
『ベン・ハー』のような映画を、意識していたのかも?
そうした感性は、90年代にニュー・クイアシネマの影響を受け、
こぞってゲイ映画を作った中華圏の若手監督に通ずるものがある。
最もこちらはバディ映画だが。

本作はシリーズ化され、10本近く制作されたらしいので、
これから少しずつ観て、CC的場面を探っていく楽しみができた。

★もし『にっぽんのCC』が作れたら、入れたいのは:
「上等兵、だまって俺について来い!!!」
「行くよ! 俺も、お前と離れるのは嫌だ!」
勝新のあの目……、デブ専の皆さんは必見なんですよ

==============================
★『異常性愛記録 ハレンチ』
製作年:1969年
製作国:日本
監督:石井輝男
出演:若杉英二、橘ますみ、吉田輝雄



「ラインシリーズ」で石井監督の大ファンになった僕。
近年の『ねじ式』もすごく良かった。

こちらは東映エログロ路線中の一作。
若杉英二演じるハレンチ男が、単なるしかめ面の暴君ではなく、
妙に陽気で赤ちゃん言葉を使う変態という設定が、
すさまじく汚らわしい。
対してヒロインの橘ますみは中途半端な脱ぎっぷりで、凡庸。
申し訳程度のセミヌードや、
「いやよいやよ」とかたちばかりの濡れ場にボディダブルまで使い、
少しでも汚されるのを逃れようと必死である。

ゆえに二人の絡みはチグハグで、
「なぜこんなカップルが出来上がったのか」という必然が
小指の先ほども伝わってこない。
ナンセンスな失敗作という雰囲気は濃厚なのだが、
後半に起死回生とばかり大挙登場するゲイボーイ軍団のお陰で、
画面はキツく締まりはじめる。

まずフル女装のサディストが、下着女装のマゾ若杉を
ホテルの一室でビザールにお仕置き!

さらに別シーンでは、
橘にフラれた若杉が流れ着いたゴーゴーバーで、
ひと夜のお相手にゲイボーイを物色し始める。
彼と女装オカマが繰り広げる軽妙なやり取りには、思わず爆笑!
ついには怪しげな覗き部屋で、変態男とオカマの3Pが展開されるに至る……。

サイケデリックな照明を駆使して撮り下ろされたこれらのシーンには、
グロテスクな欲望の持つ惨めさやうしろ暗さを、
カラリと笑い飛ばすユーモアが漂っていた。
監督が若杉英二を通して描きたかった、
本物のハレンチ男を受け止められるのは、
やはり酸いも甘いも噛み分けたゲイ以外にいない、ということなのだろうか
(迷惑な話……w)。

ドラァグクイーンなどという言葉もなかった時代の作品だが、
次々に登場する女装オカマの美粧やステロタイプが、
40年後の今と大差ないことにも、妙に感心してしまった。

★もし『にっぽんのCC』が作れたら、入れたいのは:
もちろんゴーゴーバーのシーン

==============================
★『セックスドキュメント 性倒錯の世界』
製作年:1971年
製作国:日本
監督:中島貞夫



こちらも東映エログロ路線で、監督が何本か撮ったセックスドキュメントのうちの一作。
東郷建がカメラの前で繰り広げる本番SEXが観れる(別に観たくないがw)。
ほかにもレズビアンから、蛇使いで全国を回る見世物小屋の女まで、
さまざまな性的マイノリティを「倒錯」の一括りでまとめ、紹介している。
今となっては「資料価値」を確認する意味で、客観的に楽しむ余裕が求められるだろう。

映画内に登場する戸川昌子サンの
「せっかくゲイに生まれたんならね、普通に生きようするなんて、つまらないじゃない。
人生そのものをアートにするような生き方を、目指せる可能性があるのにネ……」
といった趣旨の発言には、今のゲイにも充分染み渡る鋭さがある。

★もし『にっぽんのCC』が作れたら、入れたいのは:
レズビアンの本番セックスシーンかなぁ…

==============================
★『GONIN』
製作年:1995年
製作国:日本
監督:石井隆
出演:佐藤浩市、本木雅弘、根津甚八、椎名桔平、竹中直人、ビートたけし



間もなく最新作が公開されるシリーズの第一作。
なぜこの年にこんな豪華キャストで、ゲイテイスト濃厚なヤクザ映画が作られたのか、
いまひとつ必然を感じられないが、異色作であることは確か。
しかし近年のゲイの間では、全く無視されている作品である
(公開当時のことは憶えていないが)。
数年前の『おこげ』や『きらきらひかる』、数年後の『ハッシュ!』など
誰が観てもわかるゲイ映画の狭間に葬られた希薄な存在感が、
今となってはCC的な作品といえそうだ。

恐らく監督が撮りたかったのは、佐藤×本木のキスシーンだけであろう。
根津や竹中の冗長なエピソードは、話題作りのための付け足しにほかならない。
プロデューサやら代理店やらの外圧に負け、
純粋なラブストーリーを作れなかったのがミエミエである。

しかし照明は繊細で、明らかにアート寄り。
東京のワイルドサイドを舞台として明示しながら、
どこか無国籍的な風景として描き出す手腕は、ウォン・カーウァイにも通じる。
空撮の場面もきちんとしており、絵的な格調を感じた。

過剰な暴力シーンが多いため、叫ぶような台詞回しを求められる役者陣は皆、
多かれ少なかれ大根に見える。
そして本作に最も美しい容姿を刻みつけたのは、意外にも鶴見辰吾だった。

★もし『にっぽんのCC』が作れたら、入れたいのは:
・ヘルムト・バーガーを意識したのであろう、本木のストリップ
(でもウリ専するならゲイに受けるのは、明らかにすっぴんの方なんだけど。
そこら辺の感覚がズレている)
・佐藤と本木のキスシーン
あ、海外受けを狙って、たけし×木村一八のシーンも入れる必要があるかなぁ…。

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ちなみに冒頭で紹介したゲイバーは『Bridge』。
店内には国内で公開されたゲイ関係の映画パンフレットが、ほぼすべて揃っている!
普段来店する凡百のゲイには無視されているライブラリーだが、
いつでも君が訪れるのを、待っているはず。
http://www.bar-bridge.com/

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