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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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長く住んだ部屋を、5回目の更新直前で解約することに決めた。
10年住むと、映画ライフに関する土地の利はあまり意識しなくなるが、
改めて振り返ってみよう。
★都内に点在する名画座へのアクセス…可もなく不可もなし。
★ロードショー映画館へのアクセス…可もなく不可もなし。
ただし近年、近隣にTOHOシネマズが出来たので、何度か足を運んだ。
★TSUTAYAへのアクセス
都内だと新宿店か渋谷店が最も使えるのだが、
いずれも週一度訪れるのは、ちょっと億劫
(それでも10年間で最も世話になったとは思う)。
そしてここ数年は、ゲオによく足を運んだ。チャリ圏内に2軒もあるからである。
ゲオは「1週間100円」という低価格路線で
レンタルDVD業界の価格を破壊し、個人店を閉店に追い込んだ
TSUTAYAでさえ、一部店舗ではその後塵を拝すかたちとなっている。
最近やっと「今年観た映画」が100本を超えたのだが、
その中でゲオでレンタルした拾いものを、いくつかレビューしていこう。
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★『仮面/ペルソナ』

原題:PERSONA
製作年:1967年
製作国:スウェーデン
監督:イングマール・ベルイマン
出演:ビビ・アンデーション、リブ・ウルマン、グンナール・ビョンストランド

ゲオの品揃えは数年前まであまりにもひどく、ほとんど立ち寄らなかったのだが、
近年は僕のようなタイプの映画ファンを意識してか、
旧作のラインナップを充実させてきている
ベルイマンの再発がズラッと揃っていたりするから、驚くのだ。

本作はそんな恩恵に預かったうちの一本。
とにかくモノクロでも、光の加減でこんなにも表情の違う美しさを数多現出させられるのか、
と目を見張る画面の素晴らしさ!
装飾を極力排した舞台美術が冷ややかなトーンを醸し、
赤裸々な性描写は、すべて台詞で語られていく。

しかしせっかくの魅力的なテーマが、
カタルシスのないクライマックスで力を失っているのが残念。
「母性の欠如」という共通点を見出した女たちが、
お互いの境界線を見失うという発想は、ちょっと飛躍しすぎではないか? 
共感し合いこそすれ、憎しみ合う姿しか描かないのなら、
それなりの結末を期待するのが人情というものである。
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★『渇いた太陽』


原題:SWEET BIRD OF YOUTH
製作年:1962年
製作国:アメリカ
監督:リチャード・ブルックス
出演:ポール・ニューマン、ジェラルディン・ペイジ、シャーリー・ナイト、エド・ペグリー、
マドレーヌ・シャーウッド

のっけから海辺の風景を映したスクリーンの前で、
運転のフリをするニューマンの姿にシラける。
物語が進んでも安っぽいセットのシーンを連発。
何だかなぁという感じなのだが、
やはりテネシー・ウィリアムズの脚本が退廃していて強烈!
『サンセット大通り』ばりの老女優キャラだけでも充分エキセントリックなのに、
猛犬のような政治ゴロたちが、ジゴロな主人公をジワジワと追い詰めていく。

白眉は権力志向の老政治家(=エド・ペグリー。本作でオスカー獲得)が、
愛人に制裁を加えるシーン。
当該女優が元々すごい顔なのだが(笑)、
彼女を最小限(?)の暴力で完膚なきまでに痛めつけようとする男の、
独裁的な異常性格が端的に表現し尽くされている。
その不気味さたるや、かのデイヴィッド・リンチさえフォロワーに感じられてしまうほど
あの場面だけでも、観る価値アリの作品だ。
==============================

★『ペーパー・ボーイ』

原題:THE PAPER BOY
製作年:2012年
製作国:アメリカ
監督:リー・ダニエルズ
出演:マシュー・マコノヒー、ザック・エフロン、ジョン・キューザック、ニコール・キッドマン、
マーシー・グレイ

『プレシャス』で脚光を浴びた黒人監督の2作目。
フィルムっぽい質感と色の氾濫で、60年代アメリカの雰囲気、
そしてエアコンが普及していない時代の猛暑を、器用に浮かび上がらせる。

一応犯罪ものだがギャングは出てこないし、 迫力のあるアクションシーンもない。
しかしどす黒い「闇」の存在を、さまざまな角度からズシリとした手応えで感じさせてくれる。
そんなニューロティック要素がお気に入り!

対角線上に、光り輝くばかりに愛らしいガチムチ少年を置く手腕も、
ゲイ監督ならではの感性で見事。
アルモドヴァルがガエル・ガルシア・ベルナルにホットパンツを履かせたように、
リー監督もザック・エフロンを白ブリーフ姿で「ブラブラ」させている。
近年の『WE ARE YOUR FRIENDS』然り、
青春映画を主戦場にするザックにとっては、異色の経歴か。
しかも商業的にコケたようなので、彼のキャリアの中では汚点かもしれない。

でも本作は後年、きっと再評価されるはず。
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★『陸軍中野学校』


製作年:1966年
製作国:日本
監督:増村保造
出演:市川雷蔵、小川真由美、加東大介、待田京介、村瀬幸子

ゲオには、昭和の邦画ラインナップが圧倒的に不足している。
黒澤、小津はほぼ揃っているが、溝口は1~2作、 川島雄三は『幕末太陽傳』のみ、
成瀬に至っては1作もないというていたらく(たぶん全店共通)。
なぜか東映のヤクザ映画だけが充実している。

結局バイヤーが「リアルタイムの人間しか観ない」と決めつけているのだろう。
ゲオの頭の固いところだ。

増村は『兵隊やくざ』と本作という「シリーズもの」だけが置いてあるので、
兎に角借りてみた。
軍ものかと思いきやスパイものという、意外性のある設定が面白い。
脚本にはシニカルな反戦志向が多分に込められており、
陸軍は総じて悪役として描かれる。
ただし戦友や恋人を大義のために犬死させるという、日本特有の美意識も。

スパイ養成シーンの覗き見的な面白さ
小川真由美まで意図せずスパイになるという展開も凝っている。
冒頭の軍服ブーツには、レザーフェチ的な美しさも…。
雷蔵の出番は意外と少なく、東宝からゲスト扱いの加東の名演が印象に残る。
============================== 

★『二代目はニューハーフ』


製作年:2013年
製作国:日本
監督:OZAWA
出演:小沢仁志、ベル、山口祥行、勝矢、宮村優、美川憲一

ゲオには「ネオやくざ」なるコーナーがある。
普段見向きもしないのだが、本作は一応ゲイとして見ておこうかしらん、と手に取った。

低予算なデジタル画面の粗さはいかんともしがたいものの
(タイトルロールには営業総括担当という見慣れないクレジットもw)、
編集のテンポは平均以上に良く、
少なくとも映画的な撮影セオリーは知る人間の作品という感じ。

セットのシーンはほとんどなく、
二丁目のバーなど(個人的に)見慣れた新宿の風景の中でロケを行っており、
リアリティは自然と画面に加味されている。

テン年代に「ニューハーフを絡めた任侠ものを敢えて」という
大前提は了承して観なければならないが
(実は鑑賞し始めるまで、バブル期の作品と思い込んでいた)、
ゲイ界隈とは不可分な「軽いユーモア」を演出に取り入れているため、
暴力的な印象は随分中和されている。
「敷居を跨ぐのを憚る」という珍しい動きを伴うコメディ演出も、シュールでユニーク。

ラストの襲名シーンには『緋牡丹博徒』へのオマージュ的な雰囲気も。
女装した小沢仁志の逞しい背中を劇画化したポスターを見るにつけ、
意外とマジに東映魂を継承する意気込みだったのかも、と勘ぐってしまう。

余談として、本作を鑑賞した「僕よりも上の世代のゲイの知人」は
「ラストでなぜ小沢が女装するのか、理由をきちんと語っていない」と 憤慨していたが…。
「弟の死を悔やむ主人公が、大恩ある先代の実子の、背中を押す意味でも選んだ死装束」、
ということで良いのではないのだろうか。

============================== 
ちなみに転居先の周辺には、ゲオがない。
その代わりTSUTAYAが駅周辺にあるのだが、
中小店舗で品揃えはゲオと大差ないかも…。
今後の僕の映画ライフは、どうなっていくかしらん。

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★『これが私の人生設計』

原題:Scusate se esisto! 
製作年:2014年
製作国:イタリア
監督:リッカルド・ミラーニ
出演:パオラ・コルッテレージ、ラウル・ボヴァ、マルコ・ポッチ、ルネッタ・サヴィーノ

個人的に(俳優にとって)最もハードボイルドなコメディ映画を作るのは
香港だと思っていたのだが、このイタリア映画も、かなり演出が徹底している
デティールに凝り過ぎていて、とてもじゃないけど全部拾っていられない、と思うほどだ。
ゲイだったら笑える楽屋ネタ、世代/地域格差ネタ、などなど…。
ヒロインも典型的な「巻き込まれ型」で、わかりやすい笑いの洪水のような作品である。

主人公のゲイ友・フランチェスコ役のラウル・ボヴァは、
本作でヒロイン以上にヒロインとしての役割をまっとう。
彼が通り過ぎると窯焼きの石(?)が噴煙を上げるんだからすごい。
こんな演出を与えられた役者を映画で観たの、
『女はそれを我慢できない』のジェイン・マンスフィールド以来かも(笑)。

脚本にはイタリアの抱える性格差問題が織り込まれ、
「男根主義に骨の髄まで染まり切った男性」と、
「彼を母親のように支えてしまう情深い南欧女性」の生む不幸の連鎖が、
戯画的に問題提起されている。

しかしヒロインが「ただの女」ではなく、「突出した才能を持つ女」であることも、
きちんと踏まえたうえでテーマを咀嚼したいところ。
「才能が才能を当たり前に発揮できなくてはおかしい」という正論と
いいとこ取りだけを目指す生温いフェミニズムを混同してしまうようでは、
凶悪な高度資本主義社会を突き崩せない。
企業に属する限り、誰もが少しずつ、
民主主義を諦めなければならないのが、現状なのだから……。
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★『麻花売りの女』


製作年:1994年
製作国:香港・中国
監督:チョウ・シアオウエン
出演:アイ・リーヤー、カー・チーチュン、リウ・ペイチー

こちらは社会主義国に生きる人間が、
ピュアな資本主義に目覚め、覚醒していくさまを興味深く描写した映画。
「労働をいかに効率よく換金するか」という、根源的な発想/行動に含まれる
「創造性のようなもの」を、ぼんやりと感じさせてくれるのが 楽しい。
「1990年代の世の中で、なんてお気の毒……」と嘲笑されることを承知で、
敢えて自国の恥をユーモアに昇華してしまう力強さは、中国圏ならでは。

大陸の農村が舞台で、雄大な自然を背景にしたロケの場面が多く、
都市部との対比は鮮やかに映し出される。
脚本には社会風刺だけでなく、フェミニズム、不倫など
さまざまな要素が巧みに織り込まれており、非常に観応えがある。
編集力も高く、映画的なセンスとエンターテインメント精神が横溢
==============================

★『キャロル』

製作年:2015年
製作国:アメリカ
監督:トッド・ヘインズ
出演:ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、カイル・チャンドラー、サラ・ポールソン

劇中で『サンセット大通り』がロードショー公開されているので、
「あ、時代背景は1950年」と理解。
控えめの照明でヴィヴィッドな色の氾濫を抑え、
どことなくレトロ&セピアなトーンで全体を統一している。その画面が、とにかく美しい

特に女優を美しく捉えるという点で監督(と美粧)の技量がいかんなく発揮されており、
「さすがゲイ監督」と唸らされた。
ニュークイアフィルムのシーンから登場して、メジャーで成功している監督と言えば、
彼とガス・ヴァン・サントが2強と呼べそうなので、
ぜひこの調子で「女優が撮られたいと願う」監督の地位を確かにして欲しい。

またいくつか、「よく晴れた日の自然光」が明るく差し込む場面もあった。
ランチに誘われたテレーズが、汚れたガラス越しに外のキャロルを見ているシーンの、
静止画のような繊細さ、美しさ……。
この感覚を得られただけでも「いい映画観た」という気分にさせてくれた。

脚本は「女が、女を愛する自分を受け止める姿」をきちんと描き切る。
時代背景を考えるとややオプティミスティックに見えなくもないが、
そこら辺はリアリズムに傾いた旧作の脚本(『エデンより彼方に』)を
踏まえての決断なのかもしれない。
またそれを容認する土壌が、ハリウッドに根付きつつあることを確認できた。

生々しさよりも雰囲気を重視したラブシーンは、ゾクゾクするくらいエロティック。
フランスの『アデル、ブルーは熱い色』に比べ、
取るに足らないほど控え目な描写に仕上がっているのも面白い。
==============================
 
★『ドン・ジョン』

原題:DON JON
製作年:2013年
製作国:アメリカ
監督:ジョセフ・ゴードン=レヴィット
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、スカーレット・ヨハンソン、ジュリアン・ムーア

オルタナティヴぶっているのではなく、
監督兼主演のジョゼフの感性がきちんと反映された脚本が面白い。
まるで欧州作品のように繊細で微妙な問題を扱っている恋愛映画として、お気に入り。

画面は撮影監督に頼りきりというか
「取り敢えず今っぽい撮り方で」というオーダーが見え見え。
しかしその軽薄さが作風には合っている。
クライマックスでも照明の位置がまるわかりだったり、
手持ちカメラがグラグラ揺れているのはちょっと安っぽいが……。

編集はスピーディで飽きさせない。
同じ背景のシーンを何度も挿入し、
主人公の心理を時系列で反映させて見せるのが映画的。
ヨハンソンは馬鹿女を楽しそうに演じており、
損な役回りを引き受けた女優魂を感じさせる。チャニング・テイタムもカメオ出演。
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★『汚れた顔の天使』


原題:ANGEL WITH DIRY FACE
製作年:1938年
製作国:アメリカ
監督:マイケル・カーティス
出演:ジェームズ・キャグニー、パット・オブライエン、ハンフリー・ボガード、アン・シェリダン

アンチヒーローのキャグニーをウィンウィンで制裁すべく
よく練り込まれた脚本で、隙なく観応えもあり。
ノワール的な邪悪さやニューロティック要素が見当たらないのは30年代的だが、
暴力描写がジメジメしておらず、
「やらなければナメられる」という世界観をリズミカルに、遠慮を排して描き切る。
これって80年前のワル?」と改めて瞠目。

クレーンで上空よりスラム街を映す冒頭から、
ものの数分で20年分を簡潔に説明してしまう展開も見事。
終盤は捕り物に終わらないクライマックスの連続だが、
MAX一歩手前でテンションを冷静にキープし続ける。

拍手[0回]

製作年:2011年
製作国:日本
監督/脚本:園子温
出演者:水野美紀、冨樫真、神楽坂恵、大方斐紗子、津田寛治



______________________________________

「かの東電OLに自分探し女の総体が弟子入り」という虚構を構築しているが、
その前提にちと苦しいものがある。
混乱した馬鹿女は、ハードボイルドな娼婦に共鳴くらいはするかもしれない。
しかし「その後、彼女の荒廃に潔く同化する」という発想は
飛躍的で、どこか理想的。男の妄想の域を出ていない。

また全編に詩やカフカの引用を散りばめるという手法も古く、
近年の監督ですら文学や舞台演劇の呪縛から逃れられていないのか、
と残念に思いながら眺めた。

ただし冨樫真の操るラインには、魅力的なものもいくつか。
個人的には「秘密を持っている者は、他人の秘密も慎重に扱う」
というくだりにロマンを感じた。
現実の東電OLエピソードも、脚本へ効果的に取り入れられている。

前半の悪い意味で単調な画面、
工夫も味もない照明・舞台美術は、大幅な減点対象。
Vシネじゃないんだから…。
廃墟アパートをリンチの「赤いカーテンの部屋」のように
仕立てたかったのではと勘ぐるが、
これまた中途半端にポップで清潔な美術にセンスが感じられず、
美意識を疑いたくなる。
終盤のホラーのような展開が、作品的な野心を削いでいるのも残念で、
デ・パーマ(←今野先生風)の失敗作『ブラック・ダリア』を想起。
現実事件のフィクション化は、まとめが難しい……。

と散々けなしたが、テーマの選択と果敢なチャレンジには拍手。

拍手[0回]

※「CCって何よ、レモン? ガールズ?」などと言う輩は、以下を読まなくてよろしい!

もともと酒飲みではないため、二丁目のバーには
ほとんど行かない僕だが、ごくごくたま~に、行く店がある。
そこのマスターはものすごい映画好きで、元映画関係者らしい。
そんな彼が「昔、日本版のCCを作りたくて
各映画会社に企画書を持っていったんだけど、相手にされなかったんだ」
と話してくれた。
なんてステキ。いつか僕がお金持ちになったら、ぜひやりたい企画だ!
最もそんな日は、来ない可能性が限りなく高いが(笑)。

だいいちその企画をリードするに、僕はまだ邦画を観ていなさすぎる。
もっともっとたくさんの本数を観ないと、話にならないだろう。
でもとりあえず今回は、最近観た「にっぽんのCC的映画」を数本、
時代順に紹介いたします。

==============================
★『自由学校』
製作年:1951年
製作国:日本
監督:渋谷実
出演:佐分利信、高峰三枝子、淡島千景、佐田啓二、笠智衆、杉村春子



ジェンダーの逆転を結末とする脚本(原作有)からしてCC的。

しかし本作のCC的側面を誰よりも担うのは、佐田啓二
日本初のゲイ映画と称される『惜春鳥』での肺病病みのような、
線の細い美青年役をタイプロールとする彼が、
「だって~なんですもの、おばさま」という
どこか少女漫画的なオネエ言葉を真剣に操り、
ナヨナヨとした青年役を怪演している。
しかもそれが不快ではなく、かなりチャーミングなのである。

コメディ演出に晒された時、意外な真価を発揮する俳優って、それだけで好きになる。
歯切れのいいセリフを操る高峰、
猫撫で声から野太い地声までを駆使する淡島も、然り。
笠智衆に至っては強姦未遂でヤケになり、
大暴れするのだから本当に滅茶苦茶な映画である。

最も佐田の役柄は、ゲイ青年と限定されたわけではない。
戦前の常識から逸脱した、アプレのいち形態程度に留まっている。
そこら辺の奥ゆかしさがまた、CC的で良いのだ。

★もし『にっぽんのCC』が作れたら、入れたいのは:
佐田が高峰の自宅を訪ねた際の会話シーン

==============================
★『兵隊やくざ』
製作年:1965年
製作国:日本
監督:増村保造
出演:勝新太郎、田村高廣、淡路恵子



こんなにCC的な映画なのに、ゲイの間ではほとんど語られることがない。
増村らしいスピーディな演出/編集で、軍隊の不条理な暴力が
次々と描き出される内容なのだから、ゲイが好むはずもない。
しかし90分我慢した先には、相応のカタルシスがあるのだ。

もちろん公開当時に観たゲイは、こちらが想像する以上のものを読み取ったであろう。
しかしその感動が次代に伝わっていないのは、一種の悲劇である。
深読みは近年、ノンケの映画ファンの方が先じている状況。
田村高廣も脚本の裏テーマを理解したうえで、演じていたらしい。

監督は当時欧米で制作された『軍曹』とか『禁じられた情事の森』とか
『ベン・ハー』のような映画を、意識していたのかも?
そうした感性は、90年代にニュー・クイアシネマの影響を受け、
こぞってゲイ映画を作った中華圏の若手監督に通ずるものがある。
最もこちらはバディ映画だが。

本作はシリーズ化され、10本近く制作されたらしいので、
これから少しずつ観て、CC的場面を探っていく楽しみができた。

★もし『にっぽんのCC』が作れたら、入れたいのは:
「上等兵、だまって俺について来い!!!」
「行くよ! 俺も、お前と離れるのは嫌だ!」
勝新のあの目……、デブ専の皆さんは必見なんですよ

==============================
★『異常性愛記録 ハレンチ』
製作年:1969年
製作国:日本
監督:石井輝男
出演:若杉英二、橘ますみ、吉田輝雄



「ラインシリーズ」で石井監督の大ファンになった僕。
近年の『ねじ式』もすごく良かった。

こちらは東映エログロ路線中の一作。
若杉英二演じるハレンチ男が、単なるしかめ面の暴君ではなく、
妙に陽気で赤ちゃん言葉を使う変態という設定が、
すさまじく汚らわしい。
対してヒロインの橘ますみは中途半端な脱ぎっぷりで、凡庸。
申し訳程度のセミヌードや、
「いやよいやよ」とかたちばかりの濡れ場にボディダブルまで使い、
少しでも汚されるのを逃れようと必死である。

ゆえに二人の絡みはチグハグで、
「なぜこんなカップルが出来上がったのか」という必然が
小指の先ほども伝わってこない。
ナンセンスな失敗作という雰囲気は濃厚なのだが、
後半に起死回生とばかり大挙登場するゲイボーイ軍団のお陰で、
画面はキツく締まりはじめる。

まずフル女装のサディストが、下着女装のマゾ若杉を
ホテルの一室でビザールにお仕置き!

さらに別シーンでは、
橘にフラれた若杉が流れ着いたゴーゴーバーで、
ひと夜のお相手にゲイボーイを物色し始める。
彼と女装オカマが繰り広げる軽妙なやり取りには、思わず爆笑!
ついには怪しげな覗き部屋で、変態男とオカマの3Pが展開されるに至る……。

サイケデリックな照明を駆使して撮り下ろされたこれらのシーンには、
グロテスクな欲望の持つ惨めさやうしろ暗さを、
カラリと笑い飛ばすユーモアが漂っていた。
監督が若杉英二を通して描きたかった、
本物のハレンチ男を受け止められるのは、
やはり酸いも甘いも噛み分けたゲイ以外にいない、ということなのだろうか
(迷惑な話……w)。

ドラァグクイーンなどという言葉もなかった時代の作品だが、
次々に登場する女装オカマの美粧やステロタイプが、
40年後の今と大差ないことにも、妙に感心してしまった。

★もし『にっぽんのCC』が作れたら、入れたいのは:
もちろんゴーゴーバーのシーン

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★『セックスドキュメント 性倒錯の世界』
製作年:1971年
製作国:日本
監督:中島貞夫



こちらも東映エログロ路線で、監督が何本か撮ったセックスドキュメントのうちの一作。
東郷建がカメラの前で繰り広げる本番SEXが観れる(別に観たくないがw)。
ほかにもレズビアンから、蛇使いで全国を回る見世物小屋の女まで、
さまざまな性的マイノリティを「倒錯」の一括りでまとめ、紹介している。
今となっては「資料価値」を確認する意味で、客観的に楽しむ余裕が求められるだろう。

映画内に登場する戸川昌子サンの
「せっかくゲイに生まれたんならね、普通に生きようするなんて、つまらないじゃない。
人生そのものをアートにするような生き方を、目指せる可能性があるのにネ……」
といった趣旨の発言には、今のゲイにも充分染み渡る鋭さがある。

★もし『にっぽんのCC』が作れたら、入れたいのは:
レズビアンの本番セックスシーンかなぁ…

==============================
★『GONIN』
製作年:1995年
製作国:日本
監督:石井隆
出演:佐藤浩市、本木雅弘、根津甚八、椎名桔平、竹中直人、ビートたけし



間もなく最新作が公開されるシリーズの第一作。
なぜこの年にこんな豪華キャストで、ゲイテイスト濃厚なヤクザ映画が作られたのか、
いまひとつ必然を感じられないが、異色作であることは確か。
しかし近年のゲイの間では、全く無視されている作品である
(公開当時のことは憶えていないが)。
数年前の『おこげ』や『きらきらひかる』、数年後の『ハッシュ!』など
誰が観てもわかるゲイ映画の狭間に葬られた希薄な存在感が、
今となってはCC的な作品といえそうだ。

恐らく監督が撮りたかったのは、佐藤×本木のキスシーンだけであろう。
根津や竹中の冗長なエピソードは、話題作りのための付け足しにほかならない。
プロデューサやら代理店やらの外圧に負け、
純粋なラブストーリーを作れなかったのがミエミエである。

しかし照明は繊細で、明らかにアート寄り。
東京のワイルドサイドを舞台として明示しながら、
どこか無国籍的な風景として描き出す手腕は、ウォン・カーウァイにも通じる。
空撮の場面もきちんとしており、絵的な格調を感じた。

過剰な暴力シーンが多いため、叫ぶような台詞回しを求められる役者陣は皆、
多かれ少なかれ大根に見える。
そして本作に最も美しい容姿を刻みつけたのは、意外にも鶴見辰吾だった。

★もし『にっぽんのCC』が作れたら、入れたいのは:
・ヘルムト・バーガーを意識したのであろう、本木のストリップ
(でもウリ専するならゲイに受けるのは、明らかにすっぴんの方なんだけど。
そこら辺の感覚がズレている)
・佐藤と本木のキスシーン
あ、海外受けを狙って、たけし×木村一八のシーンも入れる必要があるかなぁ…。

==============================

ちなみに冒頭で紹介したゲイバーは『Bridge』。
店内には国内で公開されたゲイ関係の映画パンフレットが、ほぼすべて揃っている!
普段来店する凡百のゲイには無視されているライブラリーだが、
いつでも君が訪れるのを、待っているはず。
http://www.bar-bridge.com/

拍手[1回]

世界のミフネ」の勇姿を楽しむのは、何も最近始めたことではない。
しかし1960年代の出演作に横溢する、40代のおじ様の色気に瞠目!
元々どの角度から見ても端正な彼の顔に
良い具合でシワとたるみがプラスされ、野性味はさらに倍!
男の余裕と貫禄もでっぷり付帯されている。もう辛抱たまらん。

他にステキな日本のおじ様俳優といえば
★森雅之(ステキなおじ様度が異様に高いのは、川島雄三の『風船』)、
★山村聡(ステキなおじ様度が異様に高いのは、やはり川島雄三の『女は二度生まれる』)
が個人的に2強だが(溝口の『雪夫人絵図』での柳永二郎もエロくて結構、ハァハァするw)、
そこに敏郎たんもプラスしたい。
個人の俳優を追って時系列で作品を観たりすることはなかなかないから、
こういう新発見があるものなのだなぁ…。
==============================
★『天国と地獄』
製作年:1963年
製作国:日本
監督:黒澤明
出演:三船敏郎、仲代達矢、山崎努、香川京子

 

三船様が燃えたぎる反骨心を内に秘めた、叩き上げの紳士を好演する作品。
犯罪者からの電話にカッカきてシャワーを浴びる三船様、
息子をひょいと肩に抱き上げ部屋を出ていく三船様、
そして犯罪者に刑務所で面会するため、スーツでビシッと決めた
角刈り+口ひげも麗しい三船様の勇姿を、たっぷりと堪能できる。

物語的には三船→仲代→山崎と、主要キャラがバトンタッチされていく構成。
中盤までの誰にでもわかる勧善懲悪物語から
終盤の異様なサイコホラーに雪崩込む展開が見事!
菅井きん率いるゾンビのようなヤク中集団、その背景にあるハングル文字が
時代を超え、こちらに寒々しい何かを訴えかけてくる。
個人的には久々に五点満点を付けた大傑作!

==============================
★『無法松の一生』
製作年:1958年
製作国:日本
監督:稲垣浩
出演:三船敏郎、高峰秀子、笠智衆、飯田蝶子



ヴェネツィア金獅子受賞作品
三船様は学のない生一本の人力車夫を好演。
20~50代ぐらいまでを無理なく演じ分けている。

脚本は所詮メロドラマに、肉体労働者の哀愁、階級社会の苦味をプラス。
やらせない女・高峰秀子は、今回もタイプロールを全うしており、
前半の島田結が、ことのほかあでやか。

また本作は特に、舞台美術が見事である(担当:植田寛)。
ともすれば単調に陥りがちなタイトルロールから、
和雑貨のブツ撮り背景にでも使えそうな美しさ!
明治~大正時代を描いた作品だが、
すでに監督がディスカバー・ジャパン的な現代感覚を持ち合わせているのに驚く。
幼少期の無法松が夜の森を駆け抜けるシーンはまるでお伽話のようで、
さまざまなジャンルを横断できる器用さも、垣間見れる。
美術を散々褒めておいてナンだが、
ロケとセットに格差が強く感じられるのは、やや惜しい。

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★『暗黒街の顔役』
製作年:1959年
製作国:日本
監督:岡本喜八
出演:鶴田浩二、宝田明、三船敏郎、草笛光子、佐藤允



三船様は特別出演的な脇役で、
ヤクザに弱みを握られた自動車修理工場の大将を好演。

『羅生門』で発狂した京マチ子に
怒鳴りつけられた三船様の困り顔は途方もなくかわゆいのだが、
本作も弱めな彼をたっぷり堪能できるSM的作品として評価したいところ。

とは言え主役の鶴田/宝田は、ヤクザと呼ぶにはどうも品が良すぎていただけない。
宝田は歌唱シーンまで優等生的で、役者としての幅の狭さを露呈している感じ。
最も鶴田の大成ぶりは、
後年の作品でこそ確認しなければいけないのかもしれないが…。
ヤクザ映画は本作以前も以降もあまり観ていないのだが、
60~70年の邦画良作はこのジャンルに集中しているようなので、
いま慣れ親しんだテリトリーからの逸脱を求められている僕です。

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★『椿三十郎』
製作年:1962年
製作国:日本
監督:黒澤明
出演:三船敏郎、仲代達矢、加山雄三、入江たか子



前作『用心棒』の大ヒットを受け、制作された続編。
すでに完成された三十郎キャラはやや新鮮味に欠けるところがあり、
アンチ三船は鼻白みそう。
もちろん僕はキャーキャー言いっ放しでしたが(笑)。
コメディ演出も多い楽しい作品

ラストの殺陣、特撮を見慣れた目にはうっかり流されがちだが、
血しぶきまで実写というのだからすごい!
また「逆抜き不意打ち斬り」という独自の型を駆使しているそうで、
極限までリアリズムを追求する、黒澤演出の一端を垣間見れる。

ラストではすっかり加山雄三に同調し、
「あばよ」と立ち去る三十郎様を涙目で見送った……。
嗚呼、ノンケ男も惚れる、男の中の男
こんな逞しい無頼漢になら、身も心も捧げて奉仕するんだけどなぁ……。


おまけ:ネット上で拾ったGIF画像。かわゆい★

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