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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。 同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
原題:What A Way To Go!
製作年:1964年
製作国:アメリカ
監督:J・リー・トンプソン
出演:シャーリー・マクレーン、ディーン・マーティン、
ポール・ニューマン、ロバート・ミッチャム、
ジーン・ケリー、ディック・ヴァン・ダイク

_________________
エンターテインメント精神が満開のハリウッド映画。
「この調子で2時間はキツイかも」と思いながら観ていたけど、
オムニバス映画のような体裁で飽きさせない。
無声映画やモダンアート、そして富豪の生活までを
徹底的に茶化す手法は特に新鮮でもないのだけれど、
悪趣味に写らないのは愛嬌たっぷりのヒロイン、
シャーリー・マクレーンのお陰か。
ガルボやディードリッヒなど、神秘的な美人女優の系譜に属するのではなく、
無邪気さを振りまく愛らしいタイプの人気路線を引き継いで成功。
現在まで活躍している息の長い女優だ。
このテのコメディによく出演したモンローほど美人ではないが、
ヘップバーンより豊満で、最近のスターだと、どこかビョークにも似た、
溌剌とした存在感が魅力的。
本作ではイーディス・ヘッドの手による華やかな衣装を次々と身に纏うだけでなく、
ジーン・ケリーによる高度な振り付けも完璧にこなして、芸達者なところを披露している。
そちらの路線では『スゥイート・チャリティ』が代表作になるのだろうが、
本作はミュージカルが苦手な人でも楽しめる内容になっているので、ご安心を。
実は先日、ATGの『告白的女優論』を観て、
何か書こうかと思っていたのだが、どうも気が乗らなかった。
女優という華やかな職業に準ずる女性の、
複雑な背景に焦点を当てようとする試みは、全然悪くないと思ったんだけど……。
まぁタイトルに期待しすぎた僕も悪いのだが、
頭でっかちなノンケが「女優」をテーマにした作品を撮ると、
どうしてこんな、不味い料理みたいな映画になってしまうのかとガックリ。
本作はいい口直しになってくれた。
製作年:1964年
製作国:アメリカ
監督:J・リー・トンプソン
出演:シャーリー・マクレーン、ディーン・マーティン、
ポール・ニューマン、ロバート・ミッチャム、
ジーン・ケリー、ディック・ヴァン・ダイク
_________________
エンターテインメント精神が満開のハリウッド映画。
「この調子で2時間はキツイかも」と思いながら観ていたけど、
オムニバス映画のような体裁で飽きさせない。
無声映画やモダンアート、そして富豪の生活までを
徹底的に茶化す手法は特に新鮮でもないのだけれど、
悪趣味に写らないのは愛嬌たっぷりのヒロイン、
シャーリー・マクレーンのお陰か。
ガルボやディードリッヒなど、神秘的な美人女優の系譜に属するのではなく、
無邪気さを振りまく愛らしいタイプの人気路線を引き継いで成功。
現在まで活躍している息の長い女優だ。
このテのコメディによく出演したモンローほど美人ではないが、
ヘップバーンより豊満で、最近のスターだと、どこかビョークにも似た、
溌剌とした存在感が魅力的。
本作ではイーディス・ヘッドの手による華やかな衣装を次々と身に纏うだけでなく、
ジーン・ケリーによる高度な振り付けも完璧にこなして、芸達者なところを披露している。
そちらの路線では『スゥイート・チャリティ』が代表作になるのだろうが、
本作はミュージカルが苦手な人でも楽しめる内容になっているので、ご安心を。
実は先日、ATGの『告白的女優論』を観て、
何か書こうかと思っていたのだが、どうも気が乗らなかった。
女優という華やかな職業に準ずる女性の、
複雑な背景に焦点を当てようとする試みは、全然悪くないと思ったんだけど……。
まぁタイトルに期待しすぎた僕も悪いのだが、
頭でっかちなノンケが「女優」をテーマにした作品を撮ると、
どうしてこんな、不味い料理みたいな映画になってしまうのかとガックリ。
本作はいい口直しになってくれた。
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原題:DOCTOR FAUSTUS
製作年:1967年
製作国:イギリス
監督:リチャード・バートン、ネヴィル・コギル
出演:リチャード・バートン、エリザベス・テイラー、アンドレアス・トイバー

________________________
リチャード・バートンとエリザベス・テイラーは2度結婚した腐れ縁の仲。
共演した『クレオパトラ』が縁で恋の炎を燃え上がらせ、
結婚後には夫婦そろって主演を務めた作品も数多い。
ハリウッドのおしどりカップルという印象が強いが、
バートンの方はイギリス出身で、米国進出を果たしたのは1950年代。
「憂いを帯びた瞳」「荒々しさの中に垣間見せる繊細な表情」など、
母性本能をくすぐりそうなヨーロッパ男子の魅力を、満面に湛えた俳優である。
ファウストは、恐らくバートンが
一度演じてみたい役柄だったのであろう。
アメリカで当たりを取る作品ではないことを踏まえ故郷に戻り、
監督、製作まで兼ねて挑んだ野心作であり、
重みを感じさせる演技をイキイキと披露している。
ラテン語の節回しも堂々たるものだ。
24年に渡るファウストの放蕩を充分に表現した作品とは言いがたいが、
セットや美粧はそれなりに健闘している。
色とりどりのカラーウィッグを装着したり、
銀粉まみれの艶姿まで披露するリズは、
本作の華やかな側面を一身に背負うことで
夫への献身を表現しているのだが、白眉はラスト。
頭部にヘビを乗せ、ファウストを地獄へと引き摺り下ろす
悪魔として登場するのである。
リズは作品中、台詞をひとことも発さない。
彼女の魅力は美しいマスクだけでなく、
ベチャッとした独特の声質にも潜んでいるのだが、
その美声(?)を、こともあろうに「キャハハハハハ!」という悪女の高笑いのみで、
盛大に披露している。
これをカタルシスと呼ばずして、なんといおう
(まぁ物語的には、カタストロフィなんだけど笑)。
女優好きなら、このラストシーンだけで見る価値がある!
製作年:1967年
製作国:イギリス
監督:リチャード・バートン、ネヴィル・コギル
出演:リチャード・バートン、エリザベス・テイラー、アンドレアス・トイバー
________________________
リチャード・バートンとエリザベス・テイラーは2度結婚した腐れ縁の仲。
共演した『クレオパトラ』が縁で恋の炎を燃え上がらせ、
結婚後には夫婦そろって主演を務めた作品も数多い。
ハリウッドのおしどりカップルという印象が強いが、
バートンの方はイギリス出身で、米国進出を果たしたのは1950年代。
「憂いを帯びた瞳」「荒々しさの中に垣間見せる繊細な表情」など、
母性本能をくすぐりそうなヨーロッパ男子の魅力を、満面に湛えた俳優である。
ファウストは、恐らくバートンが
一度演じてみたい役柄だったのであろう。
アメリカで当たりを取る作品ではないことを踏まえ故郷に戻り、
監督、製作まで兼ねて挑んだ野心作であり、
重みを感じさせる演技をイキイキと披露している。
ラテン語の節回しも堂々たるものだ。
24年に渡るファウストの放蕩を充分に表現した作品とは言いがたいが、
セットや美粧はそれなりに健闘している。
色とりどりのカラーウィッグを装着したり、
銀粉まみれの艶姿まで披露するリズは、
本作の華やかな側面を一身に背負うことで
夫への献身を表現しているのだが、白眉はラスト。
頭部にヘビを乗せ、ファウストを地獄へと引き摺り下ろす
悪魔として登場するのである。
リズは作品中、台詞をひとことも発さない。
彼女の魅力は美しいマスクだけでなく、
ベチャッとした独特の声質にも潜んでいるのだが、
その美声(?)を、こともあろうに「キャハハハハハ!」という悪女の高笑いのみで、
盛大に披露している。
これをカタルシスと呼ばずして、なんといおう
(まぁ物語的には、カタストロフィなんだけど笑)。
女優好きなら、このラストシーンだけで見る価値がある!
原題:Vicky Christina Barcelona
製作年:2008年
製作国:アメリカ/スペイン
監督:ウディ・アレン
出演:スカーレット・ヨハンセン、ハビエル・ハルデム、ペネロペ・クルス、
レベッカ・ホール

________________________
70代にして毎年1本のペースで作品を撮り続けている精力家、ウディ・アレン。
俳優としても確かな業績がある人で、『カジノ・ロワイヤル』での
徹底したコメディアンぶりなんか、本当に素晴らしい限り。
しかし90年代の『世界中がアイ・ラブ・ユー』など、
自作の中心に躍り出て、
老醜を曝しながら愛を囁いたりする姿には、かなり辟易とさせられていた。
もともと「冴えない男」を絵に描いたようなルックスなうえに、
いかがわしいスキャンダルを起こしたりもする人だし……。
才気がほとばしっているはずの脚本でさえ、
老いた本人の口から聞くと、
「これはすでに型にはまった、時代錯誤のユーモア感覚なのでは?」
と懐疑的になってしまう。
人気俳優たちを贅沢に配し、アレン自身は監督に徹した本作は、
いまのところ日本での最新作にも当たるので、
独特の作風が果たして、2010年の現在でも古びていないのか、
おおいに興味がそそられるところだった。
しかし鑑賞後の感想は、「面白かった」のひとこと。
日本向けの宣材やパッケージには、
いかにも「おしゃれな恋愛映画」のような体裁が整えられていたが、
ニューヨークで生まれ育った彼一流の、
都会的でシニカルな視点は、まだまだ衰えていない。
映画全体は、ニューヨーカー、というかアメリカ人の視点で潔く展開する。
ヴァカンスで開放的になった女子大生がスペインでちょっとした騒動を巻き起こし、
ちっとも懲りずに帰国するコメディであり、
ちょっと植民地主義的でエゴイスティックな雰囲気も漂うが、
近年はスペイン人の手による濃厚なスペイン映画も一般的になっているので、
観る方は「こういうのもありか」と、冷静でいられる。
物質や倫理に寄りかかりつつ、中途半端な抵抗を試みるアメリカ人と、
本能と感覚重視で、常軌を逸しがちなスペイン人を誇張して描き、
そのどちらにも加担しないことで、筋を通そうとしたようだ。
また、キャラクターの描写をナレーションで
手短に済ませる手法が印象に残った。
ちょっと安易にも感じられるが、
アレンの手にかかると、手抜きというより
無駄を削ぎ落とした演出に見えるから不思議。
今回のように旬な俳優を素材として使い切り、
粋で軽くて独特な作品を、まだまだ世に送り出してほしい。
製作年:2008年
製作国:アメリカ/スペイン
監督:ウディ・アレン
出演:スカーレット・ヨハンセン、ハビエル・ハルデム、ペネロペ・クルス、
レベッカ・ホール
________________________
70代にして毎年1本のペースで作品を撮り続けている精力家、ウディ・アレン。
俳優としても確かな業績がある人で、『カジノ・ロワイヤル』での
徹底したコメディアンぶりなんか、本当に素晴らしい限り。
しかし90年代の『世界中がアイ・ラブ・ユー』など、
自作の中心に躍り出て、
老醜を曝しながら愛を囁いたりする姿には、かなり辟易とさせられていた。
もともと「冴えない男」を絵に描いたようなルックスなうえに、
いかがわしいスキャンダルを起こしたりもする人だし……。
才気がほとばしっているはずの脚本でさえ、
老いた本人の口から聞くと、
「これはすでに型にはまった、時代錯誤のユーモア感覚なのでは?」
と懐疑的になってしまう。
人気俳優たちを贅沢に配し、アレン自身は監督に徹した本作は、
いまのところ日本での最新作にも当たるので、
独特の作風が果たして、2010年の現在でも古びていないのか、
おおいに興味がそそられるところだった。
しかし鑑賞後の感想は、「面白かった」のひとこと。
日本向けの宣材やパッケージには、
いかにも「おしゃれな恋愛映画」のような体裁が整えられていたが、
ニューヨークで生まれ育った彼一流の、
都会的でシニカルな視点は、まだまだ衰えていない。
映画全体は、ニューヨーカー、というかアメリカ人の視点で潔く展開する。
ヴァカンスで開放的になった女子大生がスペインでちょっとした騒動を巻き起こし、
ちっとも懲りずに帰国するコメディであり、
ちょっと植民地主義的でエゴイスティックな雰囲気も漂うが、
近年はスペイン人の手による濃厚なスペイン映画も一般的になっているので、
観る方は「こういうのもありか」と、冷静でいられる。
物質や倫理に寄りかかりつつ、中途半端な抵抗を試みるアメリカ人と、
本能と感覚重視で、常軌を逸しがちなスペイン人を誇張して描き、
そのどちらにも加担しないことで、筋を通そうとしたようだ。
また、キャラクターの描写をナレーションで
手短に済ませる手法が印象に残った。
ちょっと安易にも感じられるが、
アレンの手にかかると、手抜きというより
無駄を削ぎ落とした演出に見えるから不思議。
今回のように旬な俳優を素材として使い切り、
粋で軽くて独特な作品を、まだまだ世に送り出してほしい。
原題:Accident
製作年:1967年
製作国:イギリス
監督:ジョゼフ・ロージー
出演:ダーク・ボガード、スタンリー・ベイカー、ジャクリーヌ・ササール、
マイケル・ヨーク、ヴィヴィアン・マーチャント、デルフィーヌ・セイリグ

_________________
久々にジョゼフ・ロージーの監督作を観た。
この人は本来の職務に忠実なのか、
人柄のようなものがあまり表に伝わっていないが、
なにげに巨匠で、個人的にも好きな監督。
アメリカ人だが共産主義者でイギリスに亡命し、
以降ヨーロッパで作品を創り続けたという経歴の持ち主らしく、
一見秩序だったメロドロマに見せかけながら、
屈折した登場人物を執拗に描く、修羅場の多い作品が印象的だ。
安定した社会的地位をキープしつつ、何とかモラルから逸脱しようとする
狡猾な人物たちを皮肉っぽく描いた本作にも、
不穏な雰囲気は漂いまくり。
若く快活な貴族の周囲をうろつき、
隙あらばおこぼれを掠め取ろうとするインテリの醜悪さが特に際立つが、
監督の出自を鑑みれば、英国貴族へも同様に皮肉な視線が
投げかけてられていることは、容易に想像がつく。
やはりダーク・ボガード主演で撮った『召使』に登場する貴族より
明るく健康的に描いてはいるものの、
所詮犬死に程度の扱いにとどめる采配はなんともハードボイルド。
思わず背筋が寒くなりそうだ。
しかしテーマが何であれ、なるべく深く突き詰めていこうとする姿勢、
そして全編を通し安定した絵作りが、とても素晴らしい。
やはりこの時代に名を遺した監督の作品は、
総じてクオリティが高いことを再認識。「映画を観た」って感じだった。
それにしても僕、ジョゼフ・ロージー監督で
リズとミア・ファーロウ出演の『秘密の儀式』が見たいんです!!
しかし、とにかくソフトが高い。
何十年も前の作品に7.000円とかつけんなよ!
最新作だって3.000円ぐらいで売ってるんだよ!
しかもレンタル禁止とか、ホント、キングレコードうざい!!
映画ファンの味方と見せかけて、実は敵なんですよ、あいつら。
製作年:1967年
製作国:イギリス
監督:ジョゼフ・ロージー
出演:ダーク・ボガード、スタンリー・ベイカー、ジャクリーヌ・ササール、
マイケル・ヨーク、ヴィヴィアン・マーチャント、デルフィーヌ・セイリグ
_________________
久々にジョゼフ・ロージーの監督作を観た。
この人は本来の職務に忠実なのか、
人柄のようなものがあまり表に伝わっていないが、
なにげに巨匠で、個人的にも好きな監督。
アメリカ人だが共産主義者でイギリスに亡命し、
以降ヨーロッパで作品を創り続けたという経歴の持ち主らしく、
一見秩序だったメロドロマに見せかけながら、
屈折した登場人物を執拗に描く、修羅場の多い作品が印象的だ。
安定した社会的地位をキープしつつ、何とかモラルから逸脱しようとする
狡猾な人物たちを皮肉っぽく描いた本作にも、
不穏な雰囲気は漂いまくり。
若く快活な貴族の周囲をうろつき、
隙あらばおこぼれを掠め取ろうとするインテリの醜悪さが特に際立つが、
監督の出自を鑑みれば、英国貴族へも同様に皮肉な視線が
投げかけてられていることは、容易に想像がつく。
やはりダーク・ボガード主演で撮った『召使』に登場する貴族より
明るく健康的に描いてはいるものの、
所詮犬死に程度の扱いにとどめる采配はなんともハードボイルド。
思わず背筋が寒くなりそうだ。
しかしテーマが何であれ、なるべく深く突き詰めていこうとする姿勢、
そして全編を通し安定した絵作りが、とても素晴らしい。
やはりこの時代に名を遺した監督の作品は、
総じてクオリティが高いことを再認識。「映画を観た」って感じだった。
それにしても僕、ジョゼフ・ロージー監督で
リズとミア・ファーロウ出演の『秘密の儀式』が見たいんです!!
しかし、とにかくソフトが高い。
何十年も前の作品に7.000円とかつけんなよ!
最新作だって3.000円ぐらいで売ってるんだよ!
しかもレンタル禁止とか、ホント、キングレコードうざい!!
映画ファンの味方と見せかけて、実は敵なんですよ、あいつら。
原題:GRADIVA
製作年:2006年
製作国:フランス、ベルギー
監督:アラン・ロブ=グリエ
出演:アリエル・ドンバール、ジェームズ・ウィルビー、
ダニー・ヴェリッシモ、マリー・エスピノーザ

________________________
観ている最中は寝そうになって、
観終わった後じんわり来る映画というのを久しぶりに観た。
でもこれ、婉曲な褒め方ではなくて、
いまどきこんなダンディズムってどうなの、と思ってはいるけど。
監督のアラン・ロブ=グリエは小説家であり映画人でもあるという
ひとかどの芸術家で、その全盛期は50~60年代。
あの『去年マリエンバードで』の脚本を書いた人と知って、とても驚いた。
彼の業績についてろくに知らず、正当な評価はとても下せない僕が、
本作についてあれこれ言っても始まらないのかもしれないが、
まぁ本作を観る人の大半が同様であろうと開き直って、続けてみる。
「過去」「未来」そして「夢」が複雑に絡み合うという構成は非常に面白く、
また時折鈍い光を放つブラック・ユーモアのセンスも秀逸なのだが、
2000年代の映画として観ると、デイヴィット・リンチの粗悪なコピー品という
感じが否めない。
最もアラン・ロブ=グリエ自身はリンチのことなど知らないのかもしれないが……。
とにかくこの映画、なんといっても照明が甘い。
これはスタッフのせいなのかも?
しかしホテルの室内に置かれた果物はまるで絵画のように美しく見えたし、
劇中劇の場面は構図まで美しかったので、
他のシーンとの落差が、どうしても気になってしまう。
これじゃ画面に集中できないではないか。
ドライでリアルクローズな現代、デコラティヴな過去、
そして幻惑的な夢の世界という多重構造の作品を撮りたい割には、
絵作りの面で、得手不得手があまりにもはっきりし過ぎている感じ。
一番中途半端なのは「夢」の場面で、
幽霊のアリエル・ドンバールにピカ~ッと白い光を当てるだけって、どうなのよ(笑)。
というわけで、僕がこの映画を観たのは、
マイブームのアリエルがヒロインを務めていたから。
アリエルが本作に出演したのも監督の実績に敬意を表してのことなんだと思うが……。
なんだか彼女までお馬鹿さんに観えてしまうシーンがいくつかあって、
ファンとしては辛い限りだった。
それでも派手な濡れ場は新人に任せ、要所要所で、
とても50代とは思えない、妖怪のように美しいヌードを披露している。
またこの映画の中で一番笑える、ナンセンスな台詞のやりとりを一任されていたので、
実質一番おいしいところを持っていったのは、彼女なんだろう。
色々な意味で、監督の光り輝く過去がなければ、ただのB級映画。
女の裸はやたらに出てくるが、男の下半身は絶対に出さない、
拷問の儀式をまるで高尚なデカダンスのように描く、
といったセンスもなんだか古くて……骨董品みたい。
年寄りの冷水と言ってしまえばそれまでだが、
これが遺作らしいので寛容にならざるをえませんね。
製作年:2006年
製作国:フランス、ベルギー
監督:アラン・ロブ=グリエ
出演:アリエル・ドンバール、ジェームズ・ウィルビー、
ダニー・ヴェリッシモ、マリー・エスピノーザ
________________________
観ている最中は寝そうになって、
観終わった後じんわり来る映画というのを久しぶりに観た。
でもこれ、婉曲な褒め方ではなくて、
いまどきこんなダンディズムってどうなの、と思ってはいるけど。
監督のアラン・ロブ=グリエは小説家であり映画人でもあるという
ひとかどの芸術家で、その全盛期は50~60年代。
あの『去年マリエンバードで』の脚本を書いた人と知って、とても驚いた。
彼の業績についてろくに知らず、正当な評価はとても下せない僕が、
本作についてあれこれ言っても始まらないのかもしれないが、
まぁ本作を観る人の大半が同様であろうと開き直って、続けてみる。
「過去」「未来」そして「夢」が複雑に絡み合うという構成は非常に面白く、
また時折鈍い光を放つブラック・ユーモアのセンスも秀逸なのだが、
2000年代の映画として観ると、デイヴィット・リンチの粗悪なコピー品という
感じが否めない。
最もアラン・ロブ=グリエ自身はリンチのことなど知らないのかもしれないが……。
とにかくこの映画、なんといっても照明が甘い。
これはスタッフのせいなのかも?
しかしホテルの室内に置かれた果物はまるで絵画のように美しく見えたし、
劇中劇の場面は構図まで美しかったので、
他のシーンとの落差が、どうしても気になってしまう。
これじゃ画面に集中できないではないか。
ドライでリアルクローズな現代、デコラティヴな過去、
そして幻惑的な夢の世界という多重構造の作品を撮りたい割には、
絵作りの面で、得手不得手があまりにもはっきりし過ぎている感じ。
一番中途半端なのは「夢」の場面で、
幽霊のアリエル・ドンバールにピカ~ッと白い光を当てるだけって、どうなのよ(笑)。
というわけで、僕がこの映画を観たのは、
マイブームのアリエルがヒロインを務めていたから。
アリエルが本作に出演したのも監督の実績に敬意を表してのことなんだと思うが……。
なんだか彼女までお馬鹿さんに観えてしまうシーンがいくつかあって、
ファンとしては辛い限りだった。
それでも派手な濡れ場は新人に任せ、要所要所で、
とても50代とは思えない、妖怪のように美しいヌードを披露している。
またこの映画の中で一番笑える、ナンセンスな台詞のやりとりを一任されていたので、
実質一番おいしいところを持っていったのは、彼女なんだろう。
色々な意味で、監督の光り輝く過去がなければ、ただのB級映画。
女の裸はやたらに出てくるが、男の下半身は絶対に出さない、
拷問の儀式をまるで高尚なデカダンスのように描く、
といったセンスもなんだか古くて……骨董品みたい。
年寄りの冷水と言ってしまえばそれまでだが、
これが遺作らしいので寛容にならざるをえませんね。