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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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原題:8 femmes
製作年:2002年
製作国:フランス
監督:フランソワ・オゾン
出演;ダニエル・ダリュ―、カトリーヌ・ドヌーヴ、イザベル・ユペール、
エマニュエル・ベアール、ファニー・アルダン、ヴィルジニー・ルドワイヤン、
リュディヴィーヌ・サニエ、フィルミーヌ・リシャール



______________________

この映画をはじめて観たのはもうだいぶ前の事だが、
それほど強い印象をもったわけではない。
しかしダビングしたものを繰り返し観ているので、
やはり好きな映画ということになる。
独りでご飯を食べる時なんかには、軽くて、BGVに最適なのだ。

オゾン監督の映画にはちょっと斜めに構えたところがあって、
僕が本当に好きなタイプの監督ではない。
しかしこの映画には、8人もの女優が登場し、大立ち回りを繰り広げる。
女性上位の映画なら大好き!
僕にとって「女優」は、映画の中で非常に重要な存在なのだ。
ただの女に興味はないが、
女優~ドヌ-ヴ、ユペールのような~という存在に
賛辞を贈ることは、決して惜しまない。
映画の華として、なくてはならない存在だと思っている。
きっとオゾン監督もそうなのだろう。だからこの映画には強く共感できる。

ということで最近、この映画の限定DVDボックスを入手した。
本編は何度も観ているので、その世界をより深く識ることのできる
ボーナスディスクが目当てだ。
インタビューでは、8人の女優が製作秘話を語る。
その中からオゾン監督の姿が否応無しに浮かび上がってくるのだが、
面白かったのはドヌ-ヴの話。
そもそも役柄に不満が大きかったようで、
愚痴が口を突いて出るという感じなのだが、
その矛先はオゾン監督の演出スタンスへと向かう。
これは女優たちの意見がほぼ一致しているので事実なのだろうが、
撮影現場でのオゾン監督は「優しい暴君」のようで、怒鳴りこそしないが、
女優たちに独自の解釈や、自由な演技を認めないという。
輝かしいキャリアに相応しいプライドを持つ大女優にとって、
それなりの屈辱であることは想像に難くない。
またウーマンリヴの時代を駆け抜けてきた彼女にとって、
「女優」ではなく「女性」そのものを賞賛しない態度は、
腹に据えかねるものがあるらしい。
他の女優が朗らかに「これは女性を賛美した映画よ」と語るのとは対照的に、
ドヌーヴだけが監督への不信感を露にする。
そこに彼女の屈託が見えるようで、却って好印象を抱いた。
闘志を持たない女優に、スクリーンを飾る資格などないのだから。

屈折した役柄含め、個人的に最も気に入ったのはイザベル・ユペール。
それまであまり注目していなかったのだが、
この映画を観てから一気にファンになり、
主演作を片っ端から漁るようになった。
それほど美しくはないが、目の離せない個性を持っていて、
役者としての魅力は抜きんでている。
ここまでコメディエンヌぶりを発揮した出演作はほかにないようだが、
エキセントリックで大げさな演技が最高。
特にファニー・アルダンとの初対面シーンが傑作なのだが、
現場ではお互い乗り過ぎたようで、顔を見合わせるとつい笑ってしまう。
そんな楽しいやり取りが、NG集にはたくさん収められている。

この映画には推理劇、喜劇のほかにミュージカルの要素があり、
8人の女優がそれぞれ見せ場を持っているのだが、
選曲は監督自身が、フレンチポップス史上から行った。
僕がわかったのはユペールが歌うアルディの歌だけなのだが、
ダリダやシェイラなんかの歌も入っていたらしい。
残念なのは振付。コレオグラファーとしては素人の、
俳優による振り付けなのだが、
それだけで観賞に耐えうるものが1本もないというのは、なんとも残念。
まぁ女優=プロの踊り手ではないので仕方がない、というのもあるが、
オゾン監督からのオーダーは「誰にでも真似できる簡単な振り」だったとか。
しかし「誰もが真似する振付」というのは
まず「誰もがあこがれる振付」でなくては、と思うのだが。

メイキングシーンから得た重要な情報として、
この作品の下敷きの一つに、
ジョージ・キューカー監督の『女たち』という
映画があることがわかったのだが、
日本未公開で、字幕付きの映像ソフトも販売されていない。
同じく女性ばかりのキャストで撮影されており、
ジョーン・クロフォード辺りが出演しているらしいので、ぜひ観たいのだが...。
この映画のプロモが大々的に行われている間にも実現しなかったので、
今後も無理だろうか。


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