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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。 同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
原題:THE PIANIST
製作年:2002年
製作国:フランス/ドイツ/ポーランド/イギリス
監督:ロマン・ポランスキー
出演:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン、
フランク・フィンレー、エミリア・フォックス

_______________________________________
正直に言うと、「またナチスの映画か~……」と思ってしまった。
第二次世界大戦中にナチスドイツが行った非業の数々を、
決して忘れてはならない。
それは確かなのだが、純粋に映画として観ると、
あまりにも描きつくされたテーマであるうえに、
ナチスを擁護する立場というのもまずありえないので、
観る前からある程度、内容が予想できてしまうのだ。
本作は2002年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞していたので、
もしかしたら何か、新しい切口がという期待を抱かないでもなかったのだが、
極めて破綻の少ない作品だった。
歴史の授業に資料として使われてもおかしくない、そんな感じだ。
終戦間近まで生き延びたユダヤ人の主人公が、
ナチス将校に庇われる展開が唯一意外であり、
主人公が「身を救う芸」を披露する場面は、
本作のハイライトであるはずなのだが、
そこに至るまでの過程が充分すぎるほど長いせいか、感興が湧きにくかった。
また心優しいナチ将校の登場はやや唐突で、
そのバックグラウンドもまるっきり描かれないので、感情移入がしづらい。
『アンネの日記』にも言えることだが、
隠れ家とは、イマジネーションがその翼を最大限に広げる密室である。
『テナント-恐怖を買った男-』も非常に面白い密室劇だったし、
ポランスキーほどユニークな手腕を持つ監督なら、
逃げ続けるユダヤ人を主人公に、
もっと斬新な映画が撮れたのでは、と思わないでもないのだが……。
しかし母親をホロコーストで亡くし、
自らも亡命を繰り返す幼少時代を送った彼にとって本作は、
表現者として真摯に取り組まねばならない、
宿題のようなテーマを持つ作品だったのだろう。
戦争や政情不安は、映画などの芸術表現に必ず影を落とす。
例えばもし今後、北朝鮮の独裁政権が崩れる時代が訪れた暁には、
その数十年先まで、圧制の日々を描く映画が産み落とされることだろう。
英雄や巨悪を産む戦争は充分にドラマチックで、
映画には格好の題材なのだろうが、
それを描くために、今後もどれほどの才能が費やされていくのだろうか。
そう考えると複雑で、いくばくか懐疑的な気持ちさえ湧き上がるのを、禁じえない。
製作年:2002年
製作国:フランス/ドイツ/ポーランド/イギリス
監督:ロマン・ポランスキー
出演:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン、
フランク・フィンレー、エミリア・フォックス
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正直に言うと、「またナチスの映画か~……」と思ってしまった。
第二次世界大戦中にナチスドイツが行った非業の数々を、
決して忘れてはならない。
それは確かなのだが、純粋に映画として観ると、
あまりにも描きつくされたテーマであるうえに、
ナチスを擁護する立場というのもまずありえないので、
観る前からある程度、内容が予想できてしまうのだ。
本作は2002年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞していたので、
もしかしたら何か、新しい切口がという期待を抱かないでもなかったのだが、
極めて破綻の少ない作品だった。
歴史の授業に資料として使われてもおかしくない、そんな感じだ。
終戦間近まで生き延びたユダヤ人の主人公が、
ナチス将校に庇われる展開が唯一意外であり、
主人公が「身を救う芸」を披露する場面は、
本作のハイライトであるはずなのだが、
そこに至るまでの過程が充分すぎるほど長いせいか、感興が湧きにくかった。
また心優しいナチ将校の登場はやや唐突で、
そのバックグラウンドもまるっきり描かれないので、感情移入がしづらい。
『アンネの日記』にも言えることだが、
隠れ家とは、イマジネーションがその翼を最大限に広げる密室である。
『テナント-恐怖を買った男-』も非常に面白い密室劇だったし、
ポランスキーほどユニークな手腕を持つ監督なら、
逃げ続けるユダヤ人を主人公に、
もっと斬新な映画が撮れたのでは、と思わないでもないのだが……。
しかし母親をホロコーストで亡くし、
自らも亡命を繰り返す幼少時代を送った彼にとって本作は、
表現者として真摯に取り組まねばならない、
宿題のようなテーマを持つ作品だったのだろう。
戦争や政情不安は、映画などの芸術表現に必ず影を落とす。
例えばもし今後、北朝鮮の独裁政権が崩れる時代が訪れた暁には、
その数十年先まで、圧制の日々を描く映画が産み落とされることだろう。
英雄や巨悪を産む戦争は充分にドラマチックで、
映画には格好の題材なのだろうが、
それを描くために、今後もどれほどの才能が費やされていくのだろうか。
そう考えると複雑で、いくばくか懐疑的な気持ちさえ湧き上がるのを、禁じえない。
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