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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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原題:THE WRESTLER
製作年:2008年
製作国:アメリカ/フランス
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド、
マーク・マーゴリス



_________________

資本主義国における現代社会では、職業による差別が、表面上ないことになっている。
しかし堅実な生き方に逆らいつつ、社会/経済的なリスペクトを勝ち得るには、
相当な運、才能、そして努力が必要だ。
また、一度手にした成功をキープし続けるのも、容易ではない。

僕は個人的にプロレスが好き。特に女子プロレスが好きだ。
日本の女子プロレスは、世界最高峰の技術レベルを誇る。
現在タレントとして活躍している北斗晶が現役だった15年前には、
東京ドームなどの大会場でも興行が行われていた。
しかしジャンル自体の人気が下降した現在は、
この映画と同じように、一部の熱心なファンだけが集まる
小規模な大会を繰り返すにとどまっている。
大会場でメインを張った過去を引き摺りながら、
レスラーとして生き永らえているミッキー・ロークの姿が、
アジャ・コングや、豊田真奈美、そして井上京子の現在の姿とダブって見えた。

「なぜリングに上がるんだろう?、昔の勇姿が台無しになるのに」
と思わないでもないが、特殊な世界で成功を収めてしまった人間は、
一般社会に居場所を見つけることができない。
職業経験が足りな過ぎるし、自尊心も高いからだ。
現在は医師と結婚し、タレントとして人気のジャガー横田も、
現役を退いた後(現在は復帰)、スポーツ洋品店や清掃会社を転々としたという。
無力な自分自身を受け入れ、ゼロから再スタートを切ることの難しさは相当なものだが、
ドラマティックであることだけは確かで、映画には格好の題材。
芸能界を事実上引退し、ボクサーとして生計を立てていたこともあるという
ミッキー・ロークにとっては、復帰作としてこのうえない作品であろう
(80年代末の日本で、同じように大人気だったジョン・ローンは今、どうしているのかしら...)。

この映画が日本で封切りになった際、現役レスラーをプロモに引っ張り出したり、
チラシにコメントを寄せさせたりする動きが全くなかったので、
ある程度予想はしていたのだが、この映画、
プロレスを完全にショウとして描ききっている。
選手同士が楽屋で事前打ち合わせをするシーンが何度も登場するのだ。

プロレスが八百長か否かという議論に参加する気はないのだが、
ひとついえるのは、日本のプロレスとアメリカのプロレスは全く別物であるということ。
リング上での闘いに求められているものに、差があり過ぎる。
アメリカ人は大きく派手な動きや、わかりやすい闘いに熱狂する。
単純といえばそれまでだが、反応もダイレクトだ。
日本人はといえば勝負の真剣さに執拗にこだわり、
地味な動きでも懸命に理解しようと努める。
その代わり反応は鈍く、来日した外国人レスラーは、
時に会場の静けさに戸惑うこともあるという。
しかし一つひとつの技にあれだけ反応し、
ベビーフェイスの勝利に大歓声を上げるアメリカ人相手に、
こんな映画を作っていいものなのだろうか。
ショーであるとすべてわかった上で、
リング上の闘いにあれほど興奮できるものなのか?
もしそうなら、アメリカ人のバランス感覚って奇妙だと思わざるを得ないが、
近年、日本でも「ハッスル」は大人気だったしねぇ。
とにかくこの映画で、レスラーはひたすら自分自身と闘うのみなのである。

デティールでおかしかったのは、主人公がハードロックの終焉を嘆いていること。
80年代末はガンズ&ローゼスを筆頭としたハードロックバンドが大人気だったのだが、
「ニルヴァーナの登場で、すべてぶち壊しになった。90年代は嫌いだ」、とぼやく。
しかし90年代のロックにとってもっと深刻だったのはヒップホップの一般化で、
オルタナティヴの影ですら薄くなったのは周知の事実。
白人のティーンエイジャーですら、ロックを省みなくなった時代なのだ。
日本の40~50代にも、こうした「80年代の忘れ者」はわんさかいるんだろうなぁ。

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