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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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原題:人民公厠
製作年:2002年
製作国:香港/韓国
監督:フルーツ・チャン
出演:阿部力、サム・リー、チョ・インソン、
チャン・ヒョク、マ・チェ



___________________________________

2000年代前半に最も注目された香港の監督のひとりである、フルーツ・チャンの作品。
出世作『メイド・イン・ホンコン』では、
素人だったサム・リーを一躍スターダムへと押し上げた功績のある監督だが、
本作では日本や韓国の若手イケメン俳優を多数起用し、
風変わりな青春ロード・ムービーに仕立てている。

糞尿、されど……

排泄という行為は生物の日常であるにも関わらず、
映画の中ではセックス以上に描かれることが少ない。
タブーというよりはまさしく、「臭いものに蓋をしている」感がある。
僕の観た映画の中では、ペドロ・アルモドバル監督だけが
敢えてこの”周知の無関心”にコンシャスであろうとしており、
脱糞シーンをギャグのハイライトとして用いたり、
進行の中に非常に自然な排尿シーンを挿入したりしていたのが印象的で、
好感を持っていた。

以前小澤征爾のエッセイを読んだことがあるのだが、
その中で彼が中国に留学した際、人々が敷居のない公衆便所で
車座になって排便している光景に驚き戸惑った、というくだりがあった。
いくら”郷に入っては郷に従え”というセオリーがあったとしても、
僕にはそんな排便、絶対無理である。
しかしそうした公衆便所が、2000年代にも中国ではまだ健在であったことを、
この映画は示していた。
「信じられない」「野蛮」と糾弾するのは簡単なのだが、
元を正せば人間全員がすることである。
「何が恥ずかしいのか」という思想がその背景にあるような気がして、
中国人の器がデカさが、妙に眩しく感じられてしまう。

また僕は大学生のとき、インドを旅したことがある。
長距離を電車で移動することもあったのだが、
そんな時、車窓から朝の畑の風景が目に入ってきた。
すると一定の距離を保って、ポツリポツリと人が座っているのである。
そう、彼らは畑に排便していたのだ。
なぜこんなことを書いたのかというと
この映画が、人間の便が含む栄養分についてまで言及していたからである。
体内の不用物として排泄されるものを、栄養として吸収する需要が自然界にはあり、
それは汚いことでも醜いことでもなく、むしろ美しいことなのだということを、
本作はメタファーを用いながら語りかけてくるのだ。

下水道の整備は、インフラの最重要課題のひとつである。
つまり「臭いものに蓋をできる」ことは豊かさの表れであり、
西洋文明は「糞尿にまみれるのをいかに回避するか」を念頭に置きながら、
発展してきたといっても過言ではないのかもしれない。
しかし何度も言うようだが、元を正せば人間全員がすることだ。
地球上の生物の中で最も高度な自意識をもつ人間という生物が、
排便を恥と捉えたばかりに栄養循環のサイクルを断ち切ったり、
便器を発達させた揚句、粗大ゴミとして遺棄したりするのは、
途方もなくナンセンスなことなのではないか、
と改めて問題提起するかのような作品だった。

いまのところ、最後の野心作

フルーツ・チャン監督の作品の中で、
僕は『ハリウッド★ホンコン』が最も好きである。
大陸と香港との間に広がる断絶にこだわってきた監督の集大成ともいえる、
野心的かつ洗練された作品で、ジョウ・シュンの妖しい魅力が全編に輝きを放っていた。
本作は俳優陣こそ多彩だが、いま一度原点に立ち返ったかのような
インディ精神がみなぎっている。
個人的には2000年代に流行した、フィルムではないデジタルカメラの映像が
あまり好きではないのだが、その身軽さのお陰で
中国、韓国、インド、ニューヨークという大陸横断も可能になったのだろう。
監督自身が新しいテーマに挑戦しているところにも好感を持ったのだが、
ここ数年、”らしい新作”の音沙汰がないのが、やや心配。
『女優霊』のハリウッド・リメイクなんかを担当したようだが、
一体どうしちゃったんだろう。
「私は自由に映画を作りたいのです」と語っていた言葉通り、
才気あふれる作品を発表し続けてほしいものだ。

最後に、この映画について書いているネット上のブログをチェックしていたのだが、
ほとんどがイケメン俳優陣にしか興味のない、腐マ●コのレビューばっか。
当然本作の持つ大きなテーマに蒙を開かれることはなく、
「汚い」「生理的に受け付けない」とヒステリックに喚くばかりの内容で、
読むに値するものはひとつもなかった。
自分だって毎日、トイレに行ってるくせに、バッカじゃないの。
蛇足だが本作の名誉のために、どうしても書き加えたくなった次第だ。

ブリッとお願いします★

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