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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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原題:Searching for Debra Winger
製作年:2002年
製作国:アメリカ
監督:ロサンナ・アークエット
出演:ロサンナ・アークエット、パトリシア・アークエット、
デブラ・ウィンガー



________________________________________


大女優と呼ぶにはちと格の足りないロサンナ・アークエットが、
シングル・マザーとして自らの今後を憂いた揚句、
「これをテーマにドキュメンタリーを撮ってやろう」と一念発起。

 ・女は家庭と仕事を本当に両立できるのか?
 ・40過ぎた女優は今後、どうするべきなのか?

という質問を、34人の女優にぶつけまくる。


炸裂するガールパワー

本作の評価ポイントは、”ロサンナの行動力”の一点に尽きると思う。
映画史上、他の女優が為しえず、またやろうともしなかった分野に触手を伸ばし、
作品として結実させたのだから、立派なものではないか。
しかしこれを成し遂げたということは女優として、
「いるだけで男があれこれしてくれるセクシー美女」の
イメージを失うことと、イコールでもある。
つまり落ち目女優が一発逆転ヒットを狙った、ヤケクソの開き直り的な行動なのだ。
そんななりふり構わぬガールパワーの炸裂ぶりが、とても小気味よい。

だがロサンナ、本作の製作時点でもう40代なのであるからして、
ガールと呼ぶにはちと、トウが立ち過ぎている。
カメラの背後には回らず、頻繁に画面へ登場するのだが、
お行儀のほうはどうも、いまひとつ。
話の聞き方から感情表現に至るまで、まるで小娘みたいな奔放さが目に付いてしまう。
10代の頃からショウビズ1本なのだから、世間知らずでも仕方がないのかもしれないが、
カメラに映る彼女の重みのない振る舞いが、
高い志の足を引っ張っているような印象を受けないでもなかった。

笑えたのは、実の妹であるパトリシア・アークエットとのやり取り。
マスコミから比べられ、ライバル扱いされることの辛さを、
本人の目の前で自嘲的に話すのだが、
意地悪な質問を発する記者と、受け応える自分を、
瞬時に演じ分けるコメディエンヌ振りが、見事!
女優なんだから当たり前と言えば当たり前なのだが、
やっぱり才能があるし、現場で鍛え上げられた女性なんだな、ということが伝わってくる。
この場面にはパトリシアのほかに数人の女優(ダリル・ハンナとかメラニー・グリフィス)が
同席しているのだが、皆ノースリーブだったり、胸元が開いていたりと、露出が多い。
そんな中、スーツに身を包んだパトリシアが、
ハッとするほど個性的に見えたのも、印象深かった。


大御所の発言に漂う重み

さて肝心の女優たちのラインナップなのだが、非常にバラエティ豊かで楽しめる。
ジェーン・フォンダ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、
シャーロット・ランプリングなどの大御所、
シャロン・ストーン、メグ・ライアンなどの売れっ子(当時)、
そしてエマニュエル・ベアール、トレイシー・ウルーマン、サルマ・ハエック、
アルフレ・ウッダードなど、いわゆる「ブロンド米国美女」とは
趣の異なる個性の女優たちが登場してくるのも、面白かった。
最も印象深いのはジェーン・フォンダで、彼女が女優業の魔力について理路整然と、
サーヴィス精神たっぷりに語る場面は、本作のハイライト。
その言葉の中には、女優業の本質を垣間見るかのようなカタルシスが、含まれていた。
こうした発言を「仕事と家庭の両立」というテーマについても引き出せていたら、
本作はもっと優れたドキュメントに仕上がっていたのではないかと思う。

公開からすでに10年が過ぎているが、
その後ロサンナは、ミュージシャンへのインタビューをまとめたドキュメント
『ALL WE ARE SAYING』を監督。
シェリル・クロウからソニック・ユースまでが登場する、
これまたバラエティ豊かな作品になっているらしい。
しかし興行的には奮わなかったらしく、日本公開も実現せずじまい。
監督業は打ち止めといったところだろうか。
女優として、話題作への出演も少ないので、
恐らくこのままフェイドアウトしていくのだろうが、
ユニークな個性を持つ本作の存在は、今後も語り継がれていくはず。
そうした作品を遺せただけでも、彼女はラッキーな映画人なのである。


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material:ふわふわ。り  template:ゆずろぐ

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