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原題:INSIDE DEEP THROAT
製作年:2005年
製作国:アメリカ
監督:フェントン・ベイリー、ランディ・バルバート
出演:ジェラルド・ダミアーノ、ハリー・リームス、リンダ・ラブレース、
ゴア・ヴィダル、ジョン・ウォーターズ、アンドレア・トゥルー



_____________________________

70年代前半のアメリカで、メガヒットを記録したポルノ映画『ディープスロート』。
本作は、このポルノ映画が巻き起こした社会現象を、
製作関係者や、当時の雰囲気をよく知る著名人の発言から振り返った
ドキュメンタリーフィルムである。

ということで、僕はまず『ディープ・スロート』本編を観てみた。
えげつなさという点では、現代のAVに太刀打ちできるはずもなく、
主演のリンダ・ラブレースが披露する、タイトル通りの「奥義」も、
特に目新しくは写らない。また、このポルノ映画は
「本来陰部にあるはずのクリトリスを、なぜか喉の奥に所有している主人公が、
”ディープスロート”することで真のエクスタシーに到達し、性の探求を終える」
という、荒唐無稽なストーリーの基に展開する。
その馬鹿馬鹿しさには呆れるを通り越し、思わず笑ってしまうが、
演技に関してド素人の出演者が繰り広げる芝居のまずさは、
どちらかというと悪い冗談の範囲内。
女優は皆ブスなばかりか、時代を感じさせるもっさりとしたヘアスタイルのせいで、
おばさんのようにも見える。
ポルノ映画の枠を超えるような普遍性を有する作品ではないし、
特別おしゃれな作品でもないのだ。

ではこのポルノがなぜ、社会現象を巻き起こすほどのヒットを記録したのか。
その経緯は、本作を観れば充分にわかることだから省くとして、
ひとつ考えさせられたことがある。
『ディープ・スロート』を監督したジェラルド・ダミアーノという人物の
「現代のポルノはただ性行為を写しているだけ。作品ではない。
そんなものは撮っても意味がない」という発言についてである。

ジェラルドは「セックスとは人間の営みであり、恥ずべきことではない」と考えていた。
この論理が飛躍すると「それを映像に収めるのも、自然」ということになる。
さらにジェラルドは当時「ハリウッドとポルノが歩み寄り、最終的には合体する」
と真剣に予測していたらしい。
それはつまりジェーン・フォンダとか、ラクウェル・ウェルチとか、
スティーブ・マックイーンとかが、
演技の合間に本番の濡れ場を披露するということと、イコールである。
「何を馬鹿な」と思うのは、結果を知る40年後ゆえの意見なのだろうか?
当時はこのような展望を後押しする追い風が、本当に吹いていたのだろうか?

2010年代を生きる僕は、ポルノに「抜く」以外の意味を求めていない。
下手なストーリーやまずい演技は感興を削ぐばかりだし、
逆に完成度が高くても、それはそれで興醒めな気がする。
他の作品との差異化を、なんとなく図る程度のグラデーションさえあればいい。
大体ポルノとは、人目を憚り、こっそりと楽しむからこそ、魅力的なのではないか?
と考えるうち、自分とジェラルドとの間に広がる大きな断絶に、はたと気付いた。
彼は、性を「暗闇でコソコソと楽しむもの」から、「太陽の下で謳歌するもの」に
変えられると思いたかった。つまり、タブーを取り払いたがった人間なのだ。
無謀、無邪気、後付けの自己正当化といってしまえばそれまでだが、
その「志」自体は、決して間違っていない。
むしろ脆いのは、自らの性生活とハードコア・ポルノを巧妙に分断し、
中途半端に許容する現代人のバランス感覚だということに、
図らずも気付かされたのだ。

性をめぐる問題とはかように複雑である。
ひとびとの意識を改革すべく行動することは、
それなりにエキサイティングでもあるだろう。
しかし見果てぬ理想は、次第に実人生を蝕んでゆく。
『ディープ・スロート』の関係者も然りで、監督はともかく、
さほどの覚悟を以て撮影に臨んだわけでもない出演者たちは、
予想をはるかに上回った成功により、その人生を狂わされていく。
そんな主演女優、リンダ・ラブレースの数奇な人生は、
リンジー・ローハン主演で、2011年に映画化されるらしい。
楽しみではあるが、思想もなく、流されるように生きた彼女の生涯を、
過度に美化した作品に仕上がらないことを祈るばかり。

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