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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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原題:Les Nuits Fauves
製作年:1992年
製作国:フランス
監督:シリル・コラール
出演:シリル・コラール、ロマーヌ・ボランジェ、
カルロス・ロペス、コリーヌ・ブルー


_________________________________________

公開当時すごく話題になった作品で、
僕もタイトルだけは記憶していたのだが、
こんなにゲイ要素の強い作品とは、観るまで知らなかった。
監督、主演をこなしているチャーミングなシリル・コラールは、
役柄と同じくHIVキャリアで(後年亡くなっている)、
彼の自伝的な要素も色濃い作品に仕上がっている。
日本でもそれなりにヒットしたはずなのに、DVD化はされていない様子だ。

スピーディなカメラワーク、エキセントリックな登場人物、
そしてストリートの孕む、さまざまな問題を巧みに取り込んだ脚本には
圧倒的な新鮮さがあり、後進へ与えた影響も、少なからずありそう。
まだHIVが、未解明な部分の多い新病だった時代の作品ということもあり、
感染者のとまどいや、感染を広げかねない未熟な行動なども
包み隠さずに描写しようと奮闘する。その実直な姿勢が、潔い。

これが初主演作となるロマーヌ・ボランジェは、
いかにもフランス娘っぽい雰囲気を発散していて、好印象。
あどけないマスクに豊満な肢体のアンバランスさが色っぽく、
なかなか見事なファム・アンファンぶりだった。
一途な情熱と、ストーカーばりの執着をむき出しにする難役だが、
その熱演を女優としてのプラスイメージに作用させるあたり、
さすがフランス映画という感じだ。

だが個人的には、なぜ物語の主軸に女性を紛れ込ませたのか、疑問を持った。
なにもゲイだって、始めっからすれっからしというわけじゃないんだし(笑)、
少年と青年ゲイの間に起こった、”愛”の認識の差を描いたほうが、
より伝わりやすい内容になったのではないか、と思うのだが。

またこの映画には、
「乱れた性生活を送った末エイズになったのに、自暴自棄になってまだ懲りていない」
というモラリストからの退屈な批判も、数多く寄せられている。
しかしゲイの世界にはパートナーシップのひとつのゴールとも言うべき、
結婚制度が浸透していない。
まぁストレートだってすぐ離婚する御時世だし、
長年の関係を良好に育むゲイ・カップルも少なくはないはずだが、
純粋な愛を裏切られた経験があるゲイには、
その後の人生を前向きに生きていくために、
刹那的なライフスタイルを選択せざるを得ない不運がある。
こうした背景を理解せずに、主人公の行動を否定するのは、
ナンセンスだということをわかって欲しいものだ。

終盤で、恋愛関係における追う者と追われる者の立場は逆転するのだが、
それぞれに”個”としての生き方に目覚めていくラストが、大人だった。
主人公が到達したのは、死に直面したものだけが知る諦念の境地であり、
恋愛関係を継続させるための言い訳では、決してない。
彼は今後も彼らしく、人生を全うするのであろうという救いが漂っており、
妥当なまとめ方だなと納得できた。

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material:ふわふわ。り  template:ゆずろぐ

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