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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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原題:SEXTETTE
製作年:1978年
製作国:アメリカ
監督:ケン・ヒューズ
出演;メイ・ウエスト、ティモシー・ダルトン、トニー・カーティス、
ジョージ・ハミルトン、ドム・デ・ルイーズ、リンゴ・スター



_____________________________________

ハリウッド伝説の一角を担う、メイ・ウエストの遺作。
美しくもスリムでもない女傑タイプの女優で、
自ら脚本を手掛けた、きわどくもウィットに富んだ艶笑ものの芝居が
まずブロードウェイで人気を獲得。その勢いでハリウッドにも進出した。

豊満な肢体を豪奢な衣装に包み、あけすけな台詞を連発するその姿は、
いま観ても充分刺激的であろうと思われる...、
なんて曖昧な物言いはイヤなのだが、
僕は全盛期の彼女の映画を、抜粋ぐらいでしか観たことがない。
ビデオ~DVDを通じて、ここ日本ではほとんどソフト化されたことがないのだ。

まず彼女の、セックスをほのめかす扇情的な芝居がプロダクション・コードに
ひっかかり、1940年代以降はハリウッドを追い出されてしまったこと、
そして下ネタをオブラートに包んだ台詞回しの数々が、
翻訳者泣かせであることが、ソフト化されにくい原因のようである。
しかし映画自体は日本でも公開されたことがあり、
黒柳徹子が特番の撮影に、突然メイの扮装で登場してきたりすることもあるので、
届くところにはきちんと届いていた、という印象。
近年の日本にはこうしたウィットを理解できる層も確実に存在するのだから、
多少意訳を駆使してでも、ソフト化を実現して欲しいものだ。

さて本作は、なんと御齢84歳のメイを主役に配したカルト映画。
しかも役柄は、「アメリカ1セクシーな女優」という、
どう見ても無理がある設定なので、
冒頭で早くも食傷気味になったのだが、なかなかどうして飽きさせない。
脚本は彼女が全盛期に書き下ろしたもので、
そのブラックユーモアの切れ味が、いまだ鈍っていないからだ。
また、彼女の存在自体がすでにカリカチュア化されていることを踏まえ、
観客が求めていない場面(濡れ場やラブシーンなどのウエット系)を
徹底的に排除しているのも、潔い。

僕は「老醜」を必要以上に意識させる演出が苦手で、
そうした場面を含む作品が嫌いだ。
いま思い出せるところでは『イシュタール』、『ジミー・ハリウッド』が最悪で、
イザベル・アジャーニ、ビクトリア・アブリルというヨーロッパの華を
それぞれ招いて添え者扱いにした、親爺の悪ノリアメリカ映画だから、
絶対に観ない方がよい。時間の無駄!
近年のウディ・アレンなんかも似たようなもので、
どうか裏方に徹してくれ、その齢とルックスで愛を囁かないで!、
と懇願したくなってしまう。
そこへいくと本作でのメイは、
豪華絢爛なファッション・ショー
(ハリウッド黄金期に数々の名作で衣装を担当してきた、
イーディス・ヘッドデザインのドレスを着用しまくる)や、
ピチピチマッチョな若者と互角に渡り合うトークの場面で、
そのビッチぶりが健在なところを、効果的に印象付ける。

またメイの恋人役である、3代目007のティモシー・ダルトンが、
イギリス人らしく品のあるコメディアンぶりを発揮し、
往年の二枚目スター、トニー・カーティスも脇を固める。
おデブなマネージャー役のドム・デ・ルイーズは、
意外に芸達者で飽きさせない。
他にも著名なロックスター(当時はまだロックがサブカルの象徴だった)が、
メイの存在に敬意を表す形で華を添えており、
なかなか楽しい作品に仕上がっていた。

それにしても84歳で撮影に臨むとは、すごい芸人根性。
台詞を憶えられないので、現場は大変だったようだ。
動きもなんとなく鈍いなぁ、と思って観ていたのだが、
ドレスの下で杖をつきながら歩いていたというのだから、恐れ入る。
「冥土の土産」として、これ以上はない作品であろう。

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