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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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原題:LA BETE HUMAINE
製作年:1938年
製作国:フランス
監督:ジャン・ルノワール
出演:ジャン・ギャバン、シモーヌ・シモン、フェルナン・ルドゥー


____________________

性衝動が高まると、相手を殺めたくなる性癖をもつ男の物語。

ここ日本でも数週間に一度ぐらいの頻度で報道される猟奇殺人事件は、
まるで飽食の時代である、現代の病のように感じられるが、
エミール・ゾラによる原作は、
今から100年以上も前(1890年)に刊行されている。
本作の冒頭には「大酒飲みの祖父と父から悪い遺伝子を受け継いだ男の物語」
という小説の設定が、わざわざ前置きされているのだが、
「これはあくまで特殊な人間のお話ですよ」と
釘を刺されているようで、やや興ざめ。
性向を遺伝子のせいにするというのも、おかしな話である。
しかし本作は今から80年近く前に撮影されており、
アメリカよりひと足早い、ニューロティックものの走り、
というか古典なので、これは致し方のないところなのだろう。

内容は注意深く作られている。
主人公の異常な性癖の発露を確認できる場面は確かにあるのだが、
最終的に彼が手をかける女性が、純な小娘ではないのだ。
愛人である主人公をけしかけ、
DV夫を抹殺してしまおうと企む女なのである。
そのため、主人公は悪役に見えない。
当時は現代ほど心理捜査も盛んではない時代だから、
猟奇犯に免疫のない観衆は「すべて女が悪かった」と、
納得しかねない展開なのである。

ハリウッド映画では永らく、
劇中で死ぬ、あるいは覚醒する順番が定められていて、
まずゲイを含む性的マイノリティが殺されるか自殺し、
悪女が続いて、白人男は最後まで生きながらえる。
このフランス映画の主人公は、
性的マイノリティの要素も含んではいるが、
人気俳優のジャン・ギャバンが演じていることもあり、
女性よりは少し長く生き永らえたといったところだろうか。

そうした描き方は保守的でつまらなかったが、
SLの姿を不安定な主人公の背景に重ね合わせ、
与しにくいほどスピーディかつ、荒々しい映像に刻んだ
ジャン・ルノワールの手腕には感心。
また魔性の女を演じたシモーヌ・シモンの姿を、
『キャット・ピープル』以来、久しぶりに確認した。
大して美人でもなく、代表作もさほどないが、
いわくありげな役を演じることが多く、
神秘的な雰囲気を漂わせているカルト女優である。

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