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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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製作年:1970年
製作国:日本
監督:吉田喜重
出演:岡田茉莉子、細川俊之、楠侑子、
原田大二郎、伊井利子



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ATG、吉田喜重とくればアートしちゃってるんだろうなと思いつつ、
つい手を伸ばしてしまった作品。
165分と長尺だが、未公開シーンを加えてさらに長く、
ディレクターズ・カットに近い体裁を整えたDVDも、発売されているようだ。

しかし飽きさせない内容だった。
三島由紀夫の戯曲ばりにデコラティヴな台詞、
計算された画角、大正モダンなインテリア、
そして過去と現在が入れ子状になった構成……。
こうした作風を見慣れていないと面食らうだろうが、
いまとなってはヌーベルヴァーグ同様、所詮様式美のひとつだ。

「結婚は私有財産制を助長し、真の民主主義を遠ざける行為だ」
という台詞が、鑑賞中一番印象に残ったのだが、
本作は実在の事件をモチーフに構築されている。
大杉 栄という共産主義者が、上記のような信条を元に、
妻を含めた女3人と平等な関係を同時進行させようとし、
結局まとめきれなくなって引き起こした『日陰茶屋事件』だ。

僕はこの事件について、また大杉 栄という人物について
全く知識がなかったのだが、
彼は『日陰茶屋事件』で一命を取りとめたのちに、
今度は軍人の手によって、愛人ともども虐殺されるという、
厳しい運命をたどっている(『甘粕事件』)。
僕が観た劇場公開版には、『甘粕事件』の場面は挿入されていなかったが、
これは意図したものなのか、それともカットされたのか、わからない
(タイトル的には、片手落ちなので……)。
とにかくこれらの事件について鑑賞前に調べておくと、
作品内のデティールがより明確に腑に落ちてくることを、付け加えておきたい。

それにしても共産主義思想には、いま聞いても充分に新鮮な主張が、
数多く込められている。
しかし生身の人間の手によって動かされると、
内実が伴わなくなってくるんだなぁ……、としみじみ。
中国の文革、そして日本の学生運動も然りだと、
観る者が複雑な心境に陥るのを見透かしたような、作風でもあった。

吉田監督のミューズ、岡田茉莉子は、
華があるけど二重顎。これが結構気になる。
しかしこの時代の細川俊之は、本当にハンサムで色男だ。
彼が大杉 栄を演じているからこそ、飽きずに観れた、というのもある。


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