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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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原題:THE DETECTIVE
製作年:1968年
製作国:アメリカ
監督:ゴードン・ダグラス
出演:フランク・シナトラ、リー・レミック、
ジャクリーン・ビセット、ラルフ・ミーカー



__________________________________________

『セルロイド・クローゼット』というドキュメンタリー・フィルムがある。
黎明期から90年代までの映画の中で、
ゲイ・キャラクターがどのように登場し、
描かれてきたのかを振り返る作品であり、
著名な映画人へのインタビューも、数多く挿入されている。
映画好きのゲイやレズビアンなら絶対に観ておきたい1本で、資料価値も高い。
僕も折につけ見返しては楽しんでいるので、
本作の抜粋が『セルロイド・クローゼット』に登場していたことを、
もちろん記憶していた。
しかし主演がフランク・シナトラで、
日本でもソフト化されていることは、つい先日まで知らなかった。
題名があまりにもありふれているせいで、探そうともしていなかったのかも?
あわてて鑑賞した次第だ。

ゲイのキャラクターは映画の中で、長らくひどい扱いを受けてきた。
「銀幕に登場させる代わりに、その存在を抹殺する」
そんなやり方が長い間、常套手段だったのだ。
本作もセオリー通り、他殺、死刑、自殺と、
ゲイのキャラクターをことごとく死に追いやっている。
さらに「殺人を犯したことより、ゲイであることに罪の意識を感じる」
なんて言わせているのだから、ひどいものだ。
『セルロイド・クローゼット』の中で、
本作についてコメントするゲイの映画関係者も、
「ゲイであることがバレたら、自分も何か恐ろしい目に遭うかもしれない。
この映画をみて、そう思った」と振り返っている。
公開当時のゲイにとっては、
苦々しい思いを抱いた数ある作品のひとつに過ぎないのだ。

しかし個人的には、非常に楽しめた。
まず純粋な正義感をシニシズムで覆い隠している主人公の刑事が、素敵。
チャーミングなシナトラは、適切な演技でキャラクターに更なる魅力を吹き込んでいる。
クライマックスでは「こう繋がるのか」と
思わずうなってしまったほど意外性のある展開にも、惹きつけられた。
またこの時代の映画において、ゲイだけでなく、
セックス依存症の女性を登場させ、
さらに警察権力の腐敗までを描いてみせた脚本は果敢で、見応えがある。

そして付け加えるならば、主人公の刑事が他人のセクシュアリティを
とやかく言おうとしないのが、素晴らしい。
あのシナトラの口から「人の趣味にケチはつけん」と明言させるのだ。
個人的にはこれで充分なのではないか、と思ってしまったんだけど、甘いかな。
港に集うという行動や、ゲイバーなど、当時のゲイの風俗を垣間見れたのも、
非常に興味深かった。

「否定的に描かれていたとしても、ゼロよりはまし」
これは『セルロイド・クローゼット』の中で
ハーヴェイ・フィアステインが発した言葉なのだが、とても現代的な感性だと思う。
卑屈になったり、身内ウケの作品に逃げる必要などないのだ。
過去はこうだったのだ、と冷静に受け止めることで、
デティールを吟味する余裕が生まれる。
そうすれば作品全体の質も見極められるようになるはず。
フラットなバランス感覚を、自分も忘れないでいたいと改めて感じた。

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