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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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製作年:1956年
製作国:日本
監督:溝口健二
出演:京マチ子、若尾文子、木暮実千代、
三益愛子、町田博子



_________________________________

先日吉原に行った。
かつて旺盛を極めた遊郭の跡地へ、一度訪れてみたかったのだ。

地下鉄三ノ輪駅から歩くこと15分ぐらいで、
「吉原大門」の交差点にたどり着く。
ここにはかつて、一大歓楽街の正面玄関があった。
S字型にくねる道を進むと、ソープランドの看板が目につくようになる。
まだ陽も高いのに、スーツ姿の男が「お兄さん! 生中出し」などと客引きしてくる。
「僕、ゲイなんで!」と叫びたくなる衝動をグッと抑えて先へ進むと、
吉原神社が見えてきた。
遊女たちも祈りを捧げたであろうこの神社は近年、
女性にご利益のあるパワースポットとして、注目を集めている。
さらに近隣の、吉原弁財天にも足を運ぶ。
かつて大きな池があって、
関東大震災の際に火事から逃げ遅れた多くの遊女が身を投げ、
命を落とした場所だ。
僕が訪れたときも、焼香の火は絶えていなかった。

このブログでたびたび”娼婦もの”の映画を
取り上げていることからわかるように、
僕は娼婦の生き様に惹かれている。
色々ある理由は、今後もレビューに落とし込んでいくだろうが、
彼女たちにある種の憧憬とシンパシーを抱いていることだけは、間違いない。

本作は国内の”娼婦もの”で、舞台はまさに吉原。
有名な『吉原炎上』と違い、
売春防止法(1958/昭和33年)施行直前の界隈を描いている。

濡れ場は一切挿入されず、
娼婦たちの労働の本質に、深く立ち入ろうとはしない。
それよりも彼女たちの、
世間並みの幸せをあきらめた日常の中にある、
悲哀や怒り、そして打算や惰性を分け隔てなく描き出すことに、
主眼を置いた作品だ。

作品内には、娼婦たちの率直で皮肉に満ちた言動、
そして江戸の昔から流行をリードし続けてきた”粋な装い”なども、
いかんなく反映されている。
特に関西弁でぶっきらぼうに言い放たれる、
蓮っ葉な物言い数々には、独特の味わいがあった。
この微妙な差異を理解できる喜びは、日本人ならではの特権なのだ。
港町・神戸から流れてきたミッキー(京マチ子)は、
ハイウェストの洋装主体。
年増のゆめ子(三益愛子)らは和装と、
個性に合わせ、魅せ方もさまざまである。
僕が何より感心したのは、ヘアスタイル。
クリップの使い方が秀逸で、
女給風のフィンガーウェーブにゴテゴテと並べ立てたり、
ジグザグに挟んでポニーテールを一風変わった形に仕上げたりと、
とにかく創意工夫に富んでいた。

娼婦を「子供たち」と呼び、
尻を叩く置屋の亭主や因業ババァに対し、
腹の中で舌を出しつつも、
「父さん、母さん」などと呼んで付き従う女たちの労働姿勢には、
日本独特の、家族的な労働形態の在り方が垣間見え、興味深い。
ほかにも娼婦自身による過剰な客引き、”通い”の労働形態など、
この時代ならではの吉原の姿が鮮やかに映し出されており、
資料価値は高かった。
僕のように吉原に興味を持っている人にとっては、
必見の佳作である。


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