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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。 同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
製作年:1956年
製作国:日本
監督:久松静児
出演者:原節子、田中絹代、木暮実千代、岡田茉莉子、
久我美子、香川京子、浪花千栄子、淡路恵子、菅井きん、
安西郷子、千石規子

________________________________________________
キャストを見ただけでもワクワクするが、
舞台も女刑務所で、赤裸々な女性映画としてのポテンシャルが期待されるこの作品。
「ものすごく観たい映画」リストに長らく入っていたのだが、
ようやく念願が叶った。
中央線沿いの名画座・ラピュタ阿佐ヶ谷のお陰だ。
最も上映はモーニングショウのみで、
死ぬほど嫌いな休日の早起きを強いられたけど……。
今回ばかりは致し方ない。そのぐらい観たい映画だった。
女優・女囚・女優
何度も言うが、キャストが恐ろしく豪華。
田中絹代/原節子という、邦画黄金期を支えた2大女優の競演作なんて、
果たしてほかにあるだろうか?
原の方が、主役と呼ぶにふさわしい出ずっぱりなものの、
女優としての上下関係は、役柄にもうまく活かされていた。
そこに若い久我美子が絡んで、物語は進んでいく。
それ以外にも主役級の女優がズラリと顔を並べており、
暗い過去を背負う女囚として、濃密なサイドストーリーを展開する。
さらに救いの笑いをもたらす名脇役たちも存在感を発揮しており、
2時間半はあっという間だった。
この映画はやはり、「女優映画」として観るのが正しいと思うので、
それぞれの印象をまとめていくことにしよう。
=================================
【田中絹代】…覚悟を以て、決然と仕事に臨む女刑務所長という役柄は、
生身の彼女にオーバーラップするところがある。
そのせいか演技も自然に見えた。
慇懃でありながらも鷹揚。威厳と品格を漂わせ、
豪華女優陣の頂点としての役割を全うしていた。
また刑務官の制服という、特殊な衣装に黒のヒールをスタイリングし、
どこか退廃的な雰囲気を振りまいてもいる。
【原節子】…小津や成瀬の作品でお馴染みとなった、
爽やかな媚を含む控えめな台詞回しは、演出の力によるものではなく、
彼女の個性であることを再認識。
敢えて田中に格負けすることで、存在感を際立たせた、引きの美学が見事。
【木暮実千代】…今回は妖婦的な役柄ではないため、地味な印象だが、
さすが彼女には、それなりの見せ場が用意されていた。
【岡田茉莉子】…アート女優へ転向する前の、可憐な姿が楽しめる。
とはいえ、健全な娘役を張るにはどこか危うい彼女の魅力が活かされており、
惜しげもなく前半で、あっさりと消える。
【久我美子】…清純で健気な娘役が多い彼女にとっては、試練の挑戦だったかも。
しかし憧れの大先輩、原との共演は嬉しかっただろう。
【香川京子】…ケレン味のない演出に晒され、野性味が引き出された感じ。
「カッとなると止められなくて…」という台詞には、意外性あった。
【淡路恵子】…実は今回、彼女の出演作特集の中で本作が上映されていたのだが、
それにしてはあまりに損な汚れ役。しかし刑務所に欠かせない同性愛の要素を、
捨て身で加味してくれた功績に拍手。
【浪花千栄子】…奥行きのある彼女の芸を充分に発揮できる役回りではなかったが、
やはり出番が来るとワクワク、ニヤニヤしてしまう。
【千石規子】…黒澤映画の常連である彼女だが、
他の監督作ではやはりこの程度の扱いという感じ。
=================================
それにしても、これだけの女優たちがしのぎを削り合う物見高さなのに、
これまで一度もソフト化されていないというのは、一体どういうことなんだろう。
「ヒロポン」なんて単語が頻発する脚本が、
どこぞの上層部の眉でも吊り上げさせているのかも……。
また調べてみたら本作の公開された年に、溝口の『赤線地帯』も封切られていた。
あちらも京マチ子、若尾文子、木暮実千代、三益愛子が競演した豪華作。
1956年は、女優映画の当たり年だったみたいだ!
製作国:日本
監督:久松静児
出演者:原節子、田中絹代、木暮実千代、岡田茉莉子、
久我美子、香川京子、浪花千栄子、淡路恵子、菅井きん、
安西郷子、千石規子
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キャストを見ただけでもワクワクするが、
舞台も女刑務所で、赤裸々な女性映画としてのポテンシャルが期待されるこの作品。
「ものすごく観たい映画」リストに長らく入っていたのだが、
ようやく念願が叶った。
中央線沿いの名画座・ラピュタ阿佐ヶ谷のお陰だ。
最も上映はモーニングショウのみで、
死ぬほど嫌いな休日の早起きを強いられたけど……。
今回ばかりは致し方ない。そのぐらい観たい映画だった。
女優・女囚・女優
何度も言うが、キャストが恐ろしく豪華。
田中絹代/原節子という、邦画黄金期を支えた2大女優の競演作なんて、
果たしてほかにあるだろうか?
原の方が、主役と呼ぶにふさわしい出ずっぱりなものの、
女優としての上下関係は、役柄にもうまく活かされていた。
そこに若い久我美子が絡んで、物語は進んでいく。
それ以外にも主役級の女優がズラリと顔を並べており、
暗い過去を背負う女囚として、濃密なサイドストーリーを展開する。
さらに救いの笑いをもたらす名脇役たちも存在感を発揮しており、
2時間半はあっという間だった。
この映画はやはり、「女優映画」として観るのが正しいと思うので、
それぞれの印象をまとめていくことにしよう。
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【田中絹代】…覚悟を以て、決然と仕事に臨む女刑務所長という役柄は、
生身の彼女にオーバーラップするところがある。
そのせいか演技も自然に見えた。
慇懃でありながらも鷹揚。威厳と品格を漂わせ、
豪華女優陣の頂点としての役割を全うしていた。
また刑務官の制服という、特殊な衣装に黒のヒールをスタイリングし、
どこか退廃的な雰囲気を振りまいてもいる。
【原節子】…小津や成瀬の作品でお馴染みとなった、
爽やかな媚を含む控えめな台詞回しは、演出の力によるものではなく、
彼女の個性であることを再認識。
敢えて田中に格負けすることで、存在感を際立たせた、引きの美学が見事。
【木暮実千代】…今回は妖婦的な役柄ではないため、地味な印象だが、
さすが彼女には、それなりの見せ場が用意されていた。
【岡田茉莉子】…アート女優へ転向する前の、可憐な姿が楽しめる。
とはいえ、健全な娘役を張るにはどこか危うい彼女の魅力が活かされており、
惜しげもなく前半で、あっさりと消える。
【久我美子】…清純で健気な娘役が多い彼女にとっては、試練の挑戦だったかも。
しかし憧れの大先輩、原との共演は嬉しかっただろう。
【香川京子】…ケレン味のない演出に晒され、野性味が引き出された感じ。
「カッとなると止められなくて…」という台詞には、意外性あった。
【淡路恵子】…実は今回、彼女の出演作特集の中で本作が上映されていたのだが、
それにしてはあまりに損な汚れ役。しかし刑務所に欠かせない同性愛の要素を、
捨て身で加味してくれた功績に拍手。
【浪花千栄子】…奥行きのある彼女の芸を充分に発揮できる役回りではなかったが、
やはり出番が来るとワクワク、ニヤニヤしてしまう。
【千石規子】…黒澤映画の常連である彼女だが、
他の監督作ではやはりこの程度の扱いという感じ。
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それにしても、これだけの女優たちがしのぎを削り合う物見高さなのに、
これまで一度もソフト化されていないというのは、一体どういうことなんだろう。
「ヒロポン」なんて単語が頻発する脚本が、
どこぞの上層部の眉でも吊り上げさせているのかも……。
また調べてみたら本作の公開された年に、溝口の『赤線地帯』も封切られていた。
あちらも京マチ子、若尾文子、木暮実千代、三益愛子が競演した豪華作。
1956年は、女優映画の当たり年だったみたいだ!
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