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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。    同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
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原題:COVER GIRL
製作年:1944年
製作国:アメリカ
監督:チャールズ・ヴィダー
出演:リタ・ヘイワース、ジーン・ケリー、フィル・シルヴァース、
オットー・クルーガー、イヴ・アーデン、シェリー・ウィンタース



________________________

リタ・ヘイワースといえば、40年代アメリカの、セックス・シンボルのひとり。
代表作としては、ノワール作品の『ギルダ』が筆頭に挙がると思うのだが、
今回この作品を観て驚いた。彼女、ものすごく踊れるのである。

この映画は立派なミュージカル映画で、共演は売り出し中のジーン・ケリー。
30年代の絢爛な作品に比べれば、セットもエキストラも小規模なものだが、
ステップの質はむしろ向上しているようで、
平たく言えば、昨日今日ダンスを始めた女優に踊れる類の振り付けではない。

足でむずかしいステップを刻みながら、上半身を優雅に動かす。
10秒に一回ぐらいはターンを決める。
もちろん、顔に満面の笑みを湛え続けていなくてはならないし、
階段を駆け上がったり、パートナーと丁々発止のやり取りを繰り広げたりと、
長回しの間には、息つく暇もなさそうだ。

作品中こうした見せ場がいくつもあるのだから、
相当入念にリハーサルをこなさなければ臨めないと思うが、
撮影期間もそう長くはないはず。
そこまで思いをめぐらせれば、誰にでもできる芸当でないことは
容易に想像がつくというものである。

アメリカ映画で、主演俳優陣が吹き替えスタントなしに
ハイレベルなダンスを披露する、という流れの発端には、
フレッド・アステアの存在がある。
パートナーとして有名なのはジンジャー・ロジャースだが、
彼女はアステアとのコンビに留まらず、
演技派女優としての活動も積極的に行った。
未見だがリタ・ヘイワースは、ジンジャーの返上で空位になった
アステアのパートナーの座を、2作も努めていたようである。
全く、踊れるどころの騒ぎではなかったというわけだ。

映画が娯楽の王様だった時代、
ハリウッドは俳優へ、かくも過酷な要求を突きつけていたのかと驚いてしまうが、
必ずしも皆が完璧だったわけではない。
フレッド・アステアは火星人のようにおでこが広くて、容姿は十人並み。
ディードリヒやガルボは神秘的なまでに美しかったが、
流暢に踊れたわけではない(ディードリヒは歌えたが)。
そう考えると、リタがいかに商品価値の高い女優であったかがわかる。

スター工場ハリウッドの、ヘアメイクシステムの力に拠るところも大きいとはいえ
(リタの場合、赤毛より上唇のオーバーリップラインが気になる)、
いまだ語り草となっている伝説の美人女優に、
さらなる引き出しがあったことは、僕にとってかなりの衝撃であった。
さまざまな現場で「潰しが利く」俳優は、それだけで尊敬を集めて当然なのだ。
こんな女優が存在していたという事実からも、
いかに当時のハリウッドに優秀な人材が集い、
しのぎを削っていたかがわかるというもの。

ゆるやかに下火となったミュージカル映画から、
タイミングよく犯罪映画へシフトして伝説となったリタの、
あまり語られることのないもうひとつの魅力が、
全編に輝きを放っている名作。女優好きは必見だ。

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