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原題: درباره الی
製作年:2009年
製作国:イラン
監督:アスガー・ファルハディ
出演者:ゴルシフテ・ファラハニ、タラネ・アリシュスティ、
シャハブ・ホセイニ、メリッラ・ザレイ


___________________________________

個人的に何作か続けて鑑賞しているイラン映画の中で、最もインパクトのあった作品。
まるでミヒャエル・ハネケばりの、不穏な心理劇だ。
西洋文明の流入を嫌うイスラム原理主義国家の中で、
ここまで真っ当なシニシズムを元に映画を作れる監督がいるなんて。
正直全く予想していなかったので、うれしい驚きを隠せない。

特異な社会の歪んだ思いやりを斬る

内容としては心理サスペンスの要素が強く、
登場人物たちは保身のため、友人や家族の名誉のために言い争い、
庇い合い、そして嘘に嘘を塗り重ねていく。
一見、小さな集団内に生じた不幸の顛末を描いているだけなのだが、
その背後に、現代イラン社会の抱えている問題が、透け見えてくる。

本作では特に、イスラム社会における女性の在り方についての問題提起が、
なされているように感じた。
イラン人男性が女性に対して抱く建前と本音、
そしてイラン人女性が同性に対して働く、屈折した厚意やおせっかい。
これらが丹念に、執拗に描かれていくのを見るにつけ、
その何ともいえない不自然さや歪みに、驚かされてしまう。

監督はこうしたイスラム社会の通念に、明らかな不満を抱いているようだ。
でなければこんな作品は撮れない。
その思いをはっきり受け止められるのは、素晴らしいと思った。

映画にも俳優にも要・注目!

イスラム原理主義の色濃い政治下で検閲に曝されながら、
表現に向かうイラン人の監督たち。
体制や社会への批判をストレートにフィルムへ刻みつけたが最後、
表現の自由は政府の手により、剥奪されてしまう。
開放政策を進めながらもいまだ検閲の手を緩めない、
共産主義大国・中国と同様の現状だ。
その中で生き残っていくためには、知恵を絞るしかない。

政情に左右される社会の中で行う映画作りのセオリーを、
完璧なまでに満たしているこの作品。
低く評価するなどの野暮の極みだが、
映画としての面白さも十二分に兼ね備えているので、
とにかく見応えたっぷりだ。

さらに特筆したいのが、俳優陣の美しさ。
女性も男性も端正かつセクシー、そして「今風」で、
スクリーンを飾る資格充分。
まだまだ日本に入ってくる作品は少ないのだろうが、
今後もイラン映画にぜひ注目しなくては、と思わされた。

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