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30代の編集者/ライター。ゲイ。映画、音楽大好きですが、仕事では書く機会がなく...。ので、こちらでは趣味全開にしちゃいます。
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映画はエンターテインメントでありつつも、アートフォームであって欲しいと願っています。 同じような気持ちで映画を観ているひとの慰みになれば幸いです★
製作年:1958年
製作国:日本
監督:小津安二郎
出演:佐分利信、田中絹代、山本富士子、浪花千栄子、
久我美子、有馬稲子、笠智衆

_______________________________________
個人的な話だが、今年は自分の中で”邦画元年”になった。
特に面白く感じるのは1940~50年代の映画で、いま片っ端から観ている。
ひと言でいえば、一定の品格が漂う、普遍性を獲得した作風がいい。
特に大映の映画はよく観ている。
同時代の女優の中でも抜きん出た魅力を持つ、
京マチ子、若尾文子を専属として抱えていたからだ。
しかしいつの頃からか、脇を固める老け役のひとりが気になりはじめた。
どぶ池に咲く浪花の徒花
その女優の名は、浪花千栄子。
関西弁しか喋れない、いや喋らない。

しかし彼女の操る言葉の中には、
独特の直截な響きがある。そして慇懃な含みがある。
いつだって性を超越した平野に屹立しながら、
観る者の想像力を掻き立てずにおかない。
その背景に、ひと言では語り尽くせぬ上方の伝統を垣間見る思いがして、
こちらは身悶えするのである。
黒澤明や溝口健二など、巨匠と呼ばれる監督は一度ならず、
彼女を作品にキャスティングしている。
本作の監督である小津安二郎にしても、海外での評価は非常に高いが、
こと浪花千栄子の魅力に関して、
外国人には逆立ちしてもわからないところがあるだろう。
標準語とは異なる響きを持つ関西弁の妙味、
さらに色街だった島之内(現在のミナミ)独特の言い回しを、
巧妙に操る彼女の真価が測れる幸せは、日本人だけに与えられた特権なのである。
振り回すだけ振り回す
本作の舞台は東京だが、浪花千栄子は京都から上京する、
旅館のおかみ役を演じている。
小津監督はこちらの想像以上に彼女の出番を設けてくれたので、大いに楽しめた。
『お茶漬けの味』とは正反対の役柄に挑む佐分利信は、
主役でありながら物語のトーンを陰鬱にする損な役回りだが、
そこに救いの笑いをもたらすのが、千栄子なのである。
コメディ部分を一身に引き受ける大活躍ぶりだった。
田中絹代との演技合戦もみどころのひとつ。
小津監督独特の三度撮り
(↑命名したのは僕なので、意味がわからないと思うが、
2人の人物が登場する1つのシーンを、全体で1回、各自のバストアップで1回づつ
撮影して、編集していると思われる)が、妙な緊迫感をもたらしていて、笑える。
東西の女が、会話のテンションを落とさぬよう、手綱を引き合うのだが、
東の女が「場のイニチアシヴを握らねば」と身構えるのに対し、
西の女はさほど考えず、天衣無縫に振舞っている。
しかしあまりに灰汁が強すぎて、つい相手を振り回してしまうのである。
そんな東と西、自意識と無意識の戦いを戯画的に表現した、
小津監督の客観的な視点が素晴らしかった。
千栄子がもっと観たい!
気付いたら今年に入って、浪花千栄子の出演作だけでも10本近く観ていた。
鑑賞前に調べたキャストの一覧に、その名が記載されていないことも多く、
いざ観始めたら千栄子が出てきて、キャッと言った事も度々である。
いまのところその活躍ぶりが目ざましく、
なおかつ役柄に好感が持てた(?)のは本作、
そして『瀧の白糸』と『夜の素顔』だろうか。
『夜の素顔』の方は名画座で鑑賞したので、
アマゾネスみたいな京マチ子との対決シーンを、ド迫力で楽しんだ。
次点は『祇園囃子』『女系家族』『丼池』あたりか……。
もっともっと彼女を観たいのだが、
先述のような理由で出演作が調べにくいうえに、出演量も膨大である。
コツコツと観て、アーカイヴでも作っていくしかない。
まず、自伝の『水のように』を入手しなければ……!
ごきげんさん。ま、ポチッと
製作国:日本
監督:小津安二郎
出演:佐分利信、田中絹代、山本富士子、浪花千栄子、
久我美子、有馬稲子、笠智衆
_______________________________________
個人的な話だが、今年は自分の中で”邦画元年”になった。
特に面白く感じるのは1940~50年代の映画で、いま片っ端から観ている。
ひと言でいえば、一定の品格が漂う、普遍性を獲得した作風がいい。
特に大映の映画はよく観ている。
同時代の女優の中でも抜きん出た魅力を持つ、
京マチ子、若尾文子を専属として抱えていたからだ。
しかしいつの頃からか、脇を固める老け役のひとりが気になりはじめた。
どぶ池に咲く浪花の徒花
その女優の名は、浪花千栄子。
関西弁しか喋れない、いや喋らない。
しかし彼女の操る言葉の中には、
独特の直截な響きがある。そして慇懃な含みがある。
いつだって性を超越した平野に屹立しながら、
観る者の想像力を掻き立てずにおかない。
その背景に、ひと言では語り尽くせぬ上方の伝統を垣間見る思いがして、
こちらは身悶えするのである。
黒澤明や溝口健二など、巨匠と呼ばれる監督は一度ならず、
彼女を作品にキャスティングしている。
本作の監督である小津安二郎にしても、海外での評価は非常に高いが、
こと浪花千栄子の魅力に関して、
外国人には逆立ちしてもわからないところがあるだろう。
標準語とは異なる響きを持つ関西弁の妙味、
さらに色街だった島之内(現在のミナミ)独特の言い回しを、
巧妙に操る彼女の真価が測れる幸せは、日本人だけに与えられた特権なのである。
振り回すだけ振り回す
本作の舞台は東京だが、浪花千栄子は京都から上京する、
旅館のおかみ役を演じている。
小津監督はこちらの想像以上に彼女の出番を設けてくれたので、大いに楽しめた。
『お茶漬けの味』とは正反対の役柄に挑む佐分利信は、
主役でありながら物語のトーンを陰鬱にする損な役回りだが、
そこに救いの笑いをもたらすのが、千栄子なのである。
コメディ部分を一身に引き受ける大活躍ぶりだった。
田中絹代との演技合戦もみどころのひとつ。
小津監督独特の三度撮り
(↑命名したのは僕なので、意味がわからないと思うが、
2人の人物が登場する1つのシーンを、全体で1回、各自のバストアップで1回づつ
撮影して、編集していると思われる)が、妙な緊迫感をもたらしていて、笑える。
東西の女が、会話のテンションを落とさぬよう、手綱を引き合うのだが、
東の女が「場のイニチアシヴを握らねば」と身構えるのに対し、
西の女はさほど考えず、天衣無縫に振舞っている。
しかしあまりに灰汁が強すぎて、つい相手を振り回してしまうのである。
そんな東と西、自意識と無意識の戦いを戯画的に表現した、
小津監督の客観的な視点が素晴らしかった。
千栄子がもっと観たい!
気付いたら今年に入って、浪花千栄子の出演作だけでも10本近く観ていた。
鑑賞前に調べたキャストの一覧に、その名が記載されていないことも多く、
いざ観始めたら千栄子が出てきて、キャッと言った事も度々である。
いまのところその活躍ぶりが目ざましく、
なおかつ役柄に好感が持てた(?)のは本作、
そして『瀧の白糸』と『夜の素顔』だろうか。
『夜の素顔』の方は名画座で鑑賞したので、
アマゾネスみたいな京マチ子との対決シーンを、ド迫力で楽しんだ。
次点は『祇園囃子』『女系家族』『丼池』あたりか……。
もっともっと彼女を観たいのだが、
先述のような理由で出演作が調べにくいうえに、出演量も膨大である。
コツコツと観て、アーカイヴでも作っていくしかない。
まず、自伝の『水のように』を入手しなければ……!
ごきげんさん。ま、ポチッと
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